研究課題/領域番号 |
18K02144
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
伊藤 美智予 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10594046)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域介入プログラム / プログラム評価 / 地域回想法 / 地域記憶 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、被災地の地域コミュニティ再構築のため、「地域記憶」づくりによる地域介入プログラムを開発し、その有用性を評価することである。「地域記憶」とは、住民らから収集する写真等をもとに編集される地域住民の生活の変容を映す映像である。2020年度は3年構想の最終年度であり、地域住民によって制作された「地域記憶」の地域回想法のツールとしての活用可能性について評価する予定であった。しかしながら新型コロナの影響を受け、地域住民対象の上映会を開催することができなかった。科研の期間延長を実施せざるを得ない状況ではあったが、主に次の3点について研究を進めた。 第1に、研究フィールドである熊本県A村B地区の「地域記憶」スライドショーDVDを完成させた。「次世代に伝えたいこと」をコンセプトに地域住民から写真を収集した。加えて、地域住民が写真を説明する映像も撮影しスライドショーの中に組み込んだ。スライドショーは「家族・暮らし・遊び」「生業・仕事」「行事」「自然・歴史」などのパートで構成した。試写会も実施するなど視聴と修正を繰り返し、スライドショーDVDが完成した。 第2に、本研究での成果をもとに、他地域で展開するための手順書(活用版DVD含む)の作成を進めた。「地域記憶」づくりは次の一連のプロセスからなる。①制作委員会の組織化、②写真データ等の収集、③写真データ・音源等の選定、④編集作業、⑤活用、⑥評価。他地域でも応用できるよう、「地域記憶」を用いた地域介入プログラムを記述するとともに、一連のプロセスにおける各段階でのポイントや留意点について整理した。 第3に、地域住民を対象とする上映会に向けたリクルート作業に着手した。上映会用のチラシを作成し、現地に整備した研究拠点を中心に地域住民への声かけを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響を受け、2020年度は熊本県A村を1回しか訪問できなかった。地域住民向けの上映会を開催する予定であったが、主な対象が高齢者ということもあり慎重な判断が求められた。予定通りのスケジュールで進めることはできなかったが、上映会の開催以外は順調に進んでいる。今後の研究の推進方策も明確であり、新型コロナの状況次第の面はあるものの、それ以外の大きな課題はないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は次の2点に取り組む。1)「地域記憶」スライドショーDVDの上映会(活用)を実施し、地域回想法ツールとしての有用性を評価する。2)今後、他地域で展開するため、「地域記憶」を用いた地域介入プログラムを記述し、その進め方や留意点などをまとめた手順書(活用版DVD含む)を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に未使用額が生じたものの、1)他地域で展開するための映像資料(DVD)制作業務、2)上映会開催に係る地域マネジメント業務については、すでに業務委託を行っており、業務完了となる2021年度に執行予定である。 2021年度は、「地域記憶」の上映会、これまでの総括や今後の展開に関する意見交換等のため、1~2回程度フィールドを訪問する予定である。そのための旅費を計上した。また研究成果の発表を行うため、学会参加費も計上した。
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