研究課題/領域番号 |
18K02146
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宮本 恭子 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (50709128)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家族介護 / 介護保険 / ドイツ |
研究実績の概要 |
本研究は、多様な状況にある家族介護の状況を明らかにし、それらに起因する生活困難や社会的困難にかかわる問題の実態を分析し、家族介護と生活困難リスクの関連について解明した。また、その克服に向けた家族介護を支えるシステムを国際比較の視点から検討した。第1に、家族介護の問題の高まりの要因・背景を需要と供給の双方から検証した。度重なる介護保険制度改革により、在宅介護を中心に家族介護者に負担が重くなっていることが明らかになった。また、介護の担い手の不足も重要な要素となっていることが提示される。第2に、家族介護に伴う生活困難や社会的困難にかかわる問題の実態については、高齢の親が単身の子どもを経済的に支える「8050問題」の実態に焦点をあてて実証的に検証した。8050世帯においては、高齢の親の介護が必要に応じて受けられないケースも発生していたり、親も子も地域や社会とつながりにくい状況にあり、介護保険などの必要なサービスが受けれないケースも見受けられた。また、8050世帯の子どもは、就労につながりにくいケースも見られ、親の介護に専念している者もみられた。第3に、日本とドイツの家族介護を支える制度を比較検証した。日本とドイツでは、ケアモデルが大きく異なる。ドイツの在宅介護は、外国人の家事労働者が大きな支え手となっており、それを、介護保険の現金給付が支える実態となっている。一方、日本は、現金給付が不在である。また、在宅優先の政策であるが、在宅介護を支える担い手不足は深刻であり、家族介護者の介護負担を重くしている可能性が指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までは、おおむね計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響で、2020年度の海外調査の計画が見通せない状況である。今後、環境が整い次第、海外調査の準備を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年明以降、コロナ禍の影響により、予定していた調査研究を中止とした。これにより、出張旅費等の執行ができなくなった。また、調査に関連する物品、謝金等の執行も中止となったため、次年度以降使用額が生じた。
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