研究課題/領域番号 |
18K02153
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 謙 日本大学, 文理学部, 准教授 (50713533)
|
研究分担者 |
瀧澤 聡 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (50438058)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ことばの教室 / 小規模自治体 / 広域連携 / 共同設置 / 組合立 / 地域連携 / ガバナンス / 支庁 |
研究実績の概要 |
本研究は支援機関の創設が困難とされてきた地方の小規模自治体における、広域連携および「組合立」導入の成立要因とその特質を歴史的に明らかにすることを目的とする。2年目(2019年度)は調査予定の8事例のうち、北海道紋別市を中心とする「西紋地区ことばの教室」に関する事例研究を進めてきた。その結果「西紋地区ことばの教室」は、1市4町が「共同設置」の形態で教室を開設していたことが明らかとなった。その背景要因として同じ旧網走支庁内の斜里町・小清水町・清里町の3町で「共同設置」していた「斜里町立斜里小学校ことばの教室」を参照していたことが明らかになった。また背景にある政治要因として、紋別市教育委員会教育長であった金田武が市長就任後に「西紋地区ことばの教室」発展に関与していることも明らかになり、地方政治のガバナンスの存在も確認された。さらに旧網走支庁内では最初に「北見市立小泉小学校言語治療学級」が設置されていたが、この小泉小学校からも創設に際し支援を受けていたことが明らかとなり、旧支庁管内の地域連携が創設・発展の一つの資源となっていたことも確認された。「西紋地区ことばの教室」に関しては当時の関係者への聞き取り調査も実施でき。創設時の状況に関して史資料を補完することも可能となった。 一方岐阜県の事例に関しては、岐阜県議会および岐阜市議会関係資料、「ピッコロ療育センター」(旧高富町)、「本巣郡幼児療育センター」(旧本巣町)に関する資料を、京都府に関しては「乙訓ポニーの学校」(長岡市)に関する資料を訪問調査により入手できた。 本研究結果を受け、次年度は現状未確認の資料を入手するとともに、広域連携による事業開発手法の実態について入手した資料の分析を進め、事例検討を行っていくことが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度夏のフィールド調査により新たな研究知見が得られたものの、2018年度調査時(2018年9月)の「北海道胆振東部地震」および2019年度「COVID-19」の影響による調査対象機関の閉鎖等が生じ、予定していた訪問調査が複数回中止となった。そのため、必要な調査が実行できておらず、大幅に進捗に遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は当初予定通り北海道清水町を中心とする「西十勝ことばの教室」を対象とする訪問調査の他、2018年度・2019年度に中止となった北海道札幌市(北海道立公文書館)、江別市(北海道立図書館)、斜里町、紋別市および岐阜県岐阜市への調査を各機関再開後に計画している。複数の調査を並行して行うことで、作業の遅れへの対応を図る予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018・2019年度は地震や「COVID-19」等の影響で必要な調査を遂行することができなかったため、2020年度以降に再度訪問調査を実施するために一部予算の繰り越しを行った。2020年度は北海道の訪問調査と、岐阜県岐阜市での訪問調査を予定している。
|