研究課題/領域番号 |
18K02156
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
周防 美智子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90584011)
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研究分担者 |
戸田 典樹 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70584465)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 児童生徒 / 抑うつ状態 / 問題行動 / 発達課題 / 学習課題 / 家族課題 / 児童虐待 / 経済課題 |
研究実績の概要 |
児童生徒の問題行動の実態を抑うつと児童生徒が抱える課題の関連から検討する目的で調査を継続している。2019年に実施した研究結果、①小学生では、男女差や4年生以外の学年差はほとんど見られないが、見過ごしやすい児童のメンタルヘルス課題が存在していること。②中学生では、女子のほうが男子に比べ高い抑うつ状態を示した。この傾向は、以前の調査でも同様の結果が見られた。また、学年が上がると抑うつ状態が増えることも同様の結果であり、高校進学問題や抑うつが発症しやすい時期などが影響していると思われる。教育現場が課題としている問題行動だけでなく、教育現場が見過ごしやすい生徒のメンタルヘルス課題が大きく存在している。③児童生徒に抑うつ状態が継続していることの状況を検証するために、調査対象を拡大し調査を実施した。調査対象は、追跡調査を実施している小中学校を含む13小学校(児童8,013人)と5中学校(生徒3,094人)の児童生徒11,107人である。調査時期は、2020年6月(コロナ感染拡大予防による4月10日~5月31日休校。その間5月14日から5月末まで分散登校し、6月1日より学校教育活動が再開された。)である。分析は、アンケート調査有効回答の小学生8,012人と中学生3,065人を対象に分析ソフトを用いて行った。分析結果では、抑うつ状態に、小学生・中学生とも発達・学習の課題等の関連が示唆された。抑うつ状態については、過去の調査結果とほとんど変わらない様子が見られた。2020年度は、コロナ禍での子どものストレスが注目されていることもあり、研究成果を積極的に学会にて発表した(日本小児保健協会学術集会にて優秀演題賞受賞)。また、児童生徒の抑うつと発達課題や学習課題、家族関係の課題等が示唆されたこともあり、児童生徒理解を深めた生徒指導に関する書籍を発刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画において、①小・中学校の全児童生徒を対象に、問題行動における発達環境と抑うつ状態を明らかにする。つまり、問題行動と抑うつ状態に影響を与える発達環境との関連を検討する。発達環境として、児童虐待、貧困、家族の課題、いじめなどの対人トラブル、学習課題との関連を検討し、問題行動の要因を明らかにする。②学校現場でどのような問題行動予防プログラムが活用できるのかを検討する。③問題行動予防プログラムの効果を検証・構築するとしていた。問題行動の要因、背景については対象を広げ、検証、検討ができたが、コロナ感染予防の影響から、問題行動予防プログラムの十分な効果検証が行えなかったが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.今年度は、検証された問題行動の要因・背景から、問題行動の予防プログラム検討を行う。 2.研究成果を、書籍として発刊する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者に対し、コロナ感染予防を考慮して研究を行ったことから、使用額に差が生じた。本年度は、昨年度の使用額差を活用し、研究成果の発表として、学会発表のほか書籍を発刊する予定である。
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