本研究は、ソーシャルワークにおけるICTを活用した多職種連携モデルを構築することである。ICTは日々、進化している。ソーシャルワークにおいて情報収集、情報共有、コミュニケーションツールなど活用場面が広がっている。他方、利用者情報を多機関で共有するICTネットワークシステムが活用されている。ソーシャルワーカーはICTをどのように活用するかその実践モデルの構築が喫緊の実践課題である。本研究は、ソーシャルワーカーの実践の可視化に支援ツールを開発することである。 令和5年度は最終年度であったため、これまでの成果をもとに権利擁護アセスメントに必要な支援ツールを検討した。権利擁護アセスメントでは、利用者の特性によって児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉、地域福祉等、社会福祉の各分野の実情を理解するとともに、法的・心理的・社会的な視点、地域の実情、社会資源の状況など総合的なアセスメントが必要となる。 具体的な活用場面として、成年後見制度における地域連携ネットワークでの権利擁護アセスメントを想定している。成年後見制度の地域連携ネットワークは、本研究が想定している多職種が参加するネットワークであり、社会福祉士、弁護士、司法書士などが権利擁護の視点から、保健医療福祉の専門職が行っている支援に参画している。本研究では、成年後見制度における必要な多職種チームの構成と特性を整理できることも必要である。そこで他のアセスメントとの相違についても検討し、支援ツールの有用性を検証することが今後の課題となる。
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