本研究は、準不登校(不登校傾向)児童生徒への効果的な支援方法について明らかにするものであり、準不登校状態から不登校状態への進行を防止できる支援方法を確立することで、不登校の未然防止というわが国の重要教育課題の解決に資することを目指す研究である。そのために本研究は、全国の小・中学校に対してサンプル調査を実施し、不登校傾向児童生徒について、登校状況や学校及び家庭生活状況等についての実態、学校における不登校及び不登校傾向児童生徒への支援の内容や実施体制等を把握することで、不登校傾向状態から不登校状態へと進む要因と防止に効果があった支援内容を明確化し、不登校の未然防止に資する、不登校傾向児童生徒への支援マニュアルとしてまとめることを目的としていた。 令和5年度は、A県内30の小中学校に対してインタビュー調査を実施し、不登校未然防止に効果があったと考えられる不登校傾向児童生徒への支援内容を聞き取り、30の支援内容を明らかにした。その支援項目を盛り込んだ調査紙を再構成し、全国3000の小中学校を対象とした郵送法による調査を実施し、339の有効票を回収した。その結果、対象校の全校児童生徒に占める不登校児童生徒率は4.4%であり、支援内容30項目中20項目は不登校傾向よりも不登校の状態で有意に実施頻度が多く、1項目は不登校よりも不登校傾向の状態での実施頻度が多かった。全国の小中学校では、児童生徒が不登校の状態になってから支援を開始するまたはその頻度が増加することが推測できた。さらに教員に対して、不登校や不登校傾向の児童生徒の支援に割いている全業務に占める労力の割合を質問したところ、平均値は28.37%と高い割合が回答された。これらより、今後の不登校支援及び不登校傾向の児童生徒に対する支援内容の差、教員の負担感等が明らかとなり、この結果を報告書としてまとめた。
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