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2019 年度 実施状況報告書

モンゴル都市貧困母子の「自場」の形成過程-「当事者支援」から「生活者の協働」へ

研究課題

研究課題/領域番号 18K02162
研究機関東京国際大学

研究代表者

村井 美紀  東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (70202760)

研究分担者 田村 愛理  東京国際大学, 商学部, 教授 (50166584)
植村 清加  東京国際大学, 商学部, 准教授 (30551668)
松本 伊智朗  北海道大学, 教育学研究院, 教授 (20199863)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード都市貧困母子 / モンゴル / 生活者の協働 / ライフヒストリー / 自己実現プロセス
研究実績の概要

本研究は、社会変革の最中にあるモンゴルにおける都市貧困層の女性の自立、とりわけ彼女らの「自場」形成過程を巡る協働活動に焦点を当てるものである。2019年度は、以下の重点項目について、文献研究とライフヒストリーを中心にした調査研究を実施した。また、定例会の他、関連分野の研究者、カウンターパートとの協力体制のもと、各自の調査研究の結果を持ち寄る形で定期的な共同研究会を開催(年間4回)し、「自場」概念の精緻化に関する議論を重ねることができた。
①市場経済移行時に幼児で現在30代になる養護施設出青年の生活、ライフヒストリー調査を通じ、彼ら自身が展開する相互扶助や支援者との関係性等の変容の過程を追いながら、自場形成の要因を析出した。
②都市のフェルト工房の30代から60代女性の生活調査とライフヒストリー調査を実施し、女性の自立過程、社会協働のあり方、特性と課題を析出した。
③ウランバートル周縁のゲル地帯における協働性や、都市周辺部の遊牧民家族の生活調査を通じ、市場経済化から30年経った現在のモンゴル社会にみる社会的共同性のあり方/困難さを検討し、ライフヒストリーの位置づけを検討した。
④日本における自場形成との比較についても継続的研究課題とし、文化的、経済的自立の試みへの参与観察調査を行い、その具体的過程と課題の共有を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概要に記した通り、昨年度絞り込んだ課題に関する調査研究と共同研究を予定通り進めることができた。反面、ライフヒストリーに関する調査については、年度末に再度2名が現地調査を行う予定だったが、新型コロナウィルス感染症の影響で渡航中止となっており、現地調査に関わる課題の一部は持ち越されることになった。

今後の研究の推進方策

これまでの成果に基づき、今年度の研究課題は、以下の3点に絞られる
1.本研究課題の遂行には現地での調査研究による知見が欠かせない。引き続き、異なる研究領域のメンバー、現地関係者および関連分野の専門家との協力を強化しながら、都市貧困母子の経済的自立と社会的協働に関する調査を実施する。また、現地調査が困難な場合は、現地の研究協力者を介してアンケート調査などを試みることも考慮する。
2.各メンバーの現地調査・研究に基づく成果を最終的にまとめるための共通の枠組みの再確認を行う。とりわけ、何が自場形成の要因となるのか、昨年度重点化した項目での調査を最終年度も行う他、ライフヒストリー研究と現在の生活誌研究のつながりについても詳細な検討を行う必要がある。協働を促す要因として、施設出身の同年代者の相互扶助から30代半ばに入った彼らの扶養家族、すなわち幼年者の保育問題や親世代の介護問題にも視点を拡げ検討する必要がある。
3. さらに今後の課題として、日本の地方都市における自場形成活動を比較対象として取り上げる。具体的には、過去2年比較調査を行ってきた北海道浦河町における自立的な生活協働の実践や同地のアイヌ女性たちによる手仕事(アイヌ刺繍など)を介した文化伝承を含んだ自立活動に注目する。これら諸組織の経済的自立と社会協働活動をモンゴル都市におけるそれと比較することにより、互いの自立活動を繋げ学び合う国際的視点の形成を目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初、年度末に予定していた2名のモンゴル調査が新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う影響で実施できなかったため、次年度への繰り越しが生じた。2020年度も海外渡航を伴う現地調査の実施が困難なケースも予想されるが、調査地域および調査方法を一部代替した予算計画のもと、本研究課題を遂行する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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