研究課題/領域番号 |
18K02164
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
潮谷 恵美 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (70287910)
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研究分担者 |
片岡 靖子 久留米大学, 文学部, 教授 (30389580)
岡田 まり 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40309076)
野村 豊子 日本福祉大学, スーパービジョン研究センター, 研究フェロー (70305275)
潮谷 有二 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (90285651)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スーパービジョンモデル / スーパーバイザーの支援ニーズ / スーパーバイザー研修 / スーパーバイジーの成長評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、ソーシャルワーク・スーパービジョンの代表的な実践、理論体系に着目し、①共通構造や独自性を踏まえた、ソーシャルワーク・スーパービジョンの実践と展開に関するモデル提示、②スーパーバイジーの専門性向上のニーズや成長プロセスに焦点をおいたスーパービジョン展開、それを可能とする③スーパーバイザーの経験に応じた段階的研修・支援に関する指針の提示を目的としている。 本年度は①について、スーパービジョンに関する国内外の先行研究の収集、データ再分析を踏まえて、スーパービジョンの実践モデル案の構築を進めた。スーパービジョンのモデルはスーパービジョンに関わる人や組織、展開(サイクル)、機能(影響や効果を含む)、価値・倫理、ソーシャルワーク実践の焦点の要素を複合した構成要素と構造を持っているものとして提示する必要があることを確認できた。さらに、検討を踏まえてモデル試作を行った。 加えて、②③に関してスーパーバイジーの成長段階に応じたスーパービジョン実践に必要とされる態度、技術、スーバイザーの役割、その他の要素を検討した。結果として、基本的な関わり技法とともにスーパービジョンの展開におけるスーパーバイジーのアセスメントと介入技法が活用されることと、特にスーパーバイジーがソーシャルワーク実践におけるスーパービジョンの課題を焦点化できる働きかけが要点となることが確認された。結果を踏まえ、研修モデルの試案を検討した。加えて養成研修のニーズ調査票の検討、試作した。 一方で、ソーシャルワークの分野横断で経験年数別のソーシャルワーカーにスーパービジョン体験とニーズに関する意見聴取の実施が計画どおりにはできなかった。さらに経験豊かなソーシャルワーカーの実践からバイザー育成の要点を聴取並びにフォーラム実施、ニーズに応じられるスーパーバイザー研修、支援モデルの検証も実施できず、次年度実施予定とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究はスーパーバイジーの専門性向上のための成長ニーズに応じたスーパービジョンモデルを提示し、それに基づき効果的なスーパービジョンが 実践できるスーパーバイザー養成・育成研修プログラムや支援システムを提示することを目的としている。 今年度は国内外の文献、事例等の分析によってスーパーバイジーの成長に応じたスーパービジョンに関するモデル案の作成を行った。ならびにスーパーバイザーのニーズ把握のインタビュー項目確定をふまえて、研修要素の検討と研修モデルの試案を作成した。さらにスーパーバイザーの研修ニーズとスーパーバイジーの成長段階に応じたスーパービジョンニーズのモデル構築にむけたインタビュー調査等の実施を秋もしくは1月~3月に予定していたが、実施の環境が整わず、協力依頼から実施に至ることができなかった。 よって、検討の結果作成したスーパービジョンモデル案の検証及びその結果の公表にも至ることができなかった。さらに、スーパービジョンモデル案を基にしたスーパーバイザー研修や支援の内容についての試案の提示と検証についても実施できなかった。 そこで、次年度にはコロナ感染症の蔓延状況に限らず遠隔で実施できる調査、インタビューフォーラムが可能になるように計画をたて、その為の方法、必要なツールの検討と試行するにとどまった。 以上のように予定しながらも実施できなかったことが昨年度から重なり、次年度に延期となったことから遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度にソーシャルワーカーのキャリアに応じたスーパービジョンの内容や機会についてのモデル案と、それを可能とするスーパーバイザー研修、支援のモデル案の検証が可能となるように予定していたスーパーバイジー並びに経験のあるスーパーバイザーからの意見聴取、インタビュー、調査ををコロナウイルス感染予防対策を講じ、2020年度に試行をした可能なツールを活用した方法で実施する。 さらに、これらの実施を踏まえた研究結果をまとめ、学会誌、紀要、研究会等での結果の公表、発表を行うこととする。 なお、2021年度が最終年度となるので、昨年度未実施の計画を遂行することとしているが、研究のまとめ、公表等まで進まない部分があった場合には研究延長を活用することによって、研究の完遂を目指すことも想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度にソーシャルワーカーのキャリアに応じたスーパービジョンの内容や機会についてのモデル案と、それを可能とするスーパーバイザー研修、支援のモデル案の検証を計画していた。しかし、スーパーバイジー並びに経験のあるスーパーバイザーからの意見聴取、インタビュー、調査実施にあたり、コロナ感染症対応により、広い地域で様々な行動制限が必要となる状態となり、調査協力を予定していた福祉援助、医療の現場職員への依頼、実施が困難となった為、未使用額が生じた。 未使用額は2021年度にコロナウイルス感染予防対策を講じ、2020年度に試行をした遠隔での通信ツールを活用した方法でインタビュー、調査等を実施することとし、その際に、研究協力者への謝金、並びにテープ起こし、報告書作成等の費用として使用する。さらに、これらの実施を踏まえた研究結果をまとめ、学会誌、紀要、研究会等での結果の公表、発表を行うこととし、その為に必要な費用に使用する。
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