研究課題/領域番号 |
18K02178
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
佐藤 順子 佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (80329995)
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研究分担者 |
野田 博也 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00580721)
角崎 洋平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10706675)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 家計相談支援 / 金融排除 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
本研究の課題は「家計相談支援におけるソーシャルワークの役割」であり、次の2点を主な研究課題としている。1つは家計相談支援の効果的な方法論の探求、2つめは金融排除層の金融アクセサビリティを保障するための金融サービスの内容・提供方法である。1年目は以下の調査等を実施した。 国内では①小関隆志科研課題番号16K04200「金融包摂による生活困窮からの脱却可能性」において、financial diary調査にあたった調査員(社会福祉士)へのグループインタビュー調査の実施②家計改善支援事業支援員研修会への参加③消費者信用生協(岩手県)・生活サポート基金(東京都)・みやぎ信用生協(宮城県)相談員へのヒアリング調査の実施④生活困窮者自立支援全国研究交流集会家計相談支援分科会(熊本県)に参加、国外ではフランス共和国サンドニ市社会福祉事業センター及びイルドフランス地方圏社会福祉職研究所(Insutitut Regional du Travail Social (パリ市)において家庭経済ソーシャルワーカー等へのヒアリング調査の実施、である。 なかでも①では、「生活困窮者の家計相談支援にあたる上で社会福祉士は極めて有力な候補の一人」という声などがあった。③では、相談員に求められる姿勢として、「来談者を受容する」「来談者の困りごとを共有する」「来談者が自己決定できるように支援する」等、ソーシャルワークの原則を尊重した相談姿勢が必要とされていることがうかがえた。一方で、相談には「社会福祉制度」「精神保健福祉」「障害者福祉」だけでなく、「融資」「債務整理」といった金融サービスに関する知識が必要という声などが挙げられていた。 フランス調査では、家庭経済ソーシャルワーカーの職域が、債務を抱える世帯以外にも入居型高齢者福祉施設等での相談活動等の拡がりを見せていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展している。 1年目は計画通り、国内では①小関隆志科研課題番号16K04200「金融包摂による生活困窮からの脱却可能性」において、financial diary調査にあたった調査員(社会福祉士)へのグループインタビュー調査の実施②家計改善支援事業支援員研修会への参加③消費者信用生協(岩手県)・生活サポート基金(東京都)・みやぎ信用生協(宮城県)相談員へのヒアリング調査の実施④生活困窮者自立支援全国研究交流集会家計相談支援分科会(熊本県)に参加した。 国外ではフランス共和国サンドニ市社会福祉事業センター及びイルドフランス地方圏社会福祉職研究所(Insutitut Regional du Travail Social (パリ市)において家庭経済ソーシャルワーカー等へのヒアリング調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、当初、生活困窮者支援自立支援法による家計改善支援事業に焦点をあてていた。生活困窮者支援自立支援法は対象者として施設利用者を除外していないが、在宅生活者だけでなく、社会福祉施設におけるソーシャルワークの対象者である母子生活支援施設入(退)所児者などに対して「家計相談支援」が位置付けられているかについて、さらなる調査が必要と考える。なぜなら、施設から地域生活への移行にあたって家計管理を行うスキルは欠かせないためである。そのため、2年目は母子生活支援施設職員や利用者を対象にアンケート調査やヒアリング調査などを実施することによって、施設における家計相談支援の現在について明らかにし、今後の家計相談支援のあり方について検討したい。 また、生活困窮者支援自立支援法の家計改善支援事業についても引き続きヒアリング調査を実施し、生活困窮者支援自立支援法の相談機関と他機関との連携のあり方等について明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究2年目に計画していた海外調査(フランス調査)を1年目に実施したため。
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