研究課題/領域番号 |
18K02180
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
松島 京 相愛大学, 人間発達学部, 准教授 (20425028)
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研究分担者 |
松浦 崇 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (20512643)
吉田 晃高 姫路大学, 教育学部, 准教授 (70329423) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外国につながりのある子ども / 社会的養育 / 乳児院 / 母子生活支援施設 / 施設保育士 / 社会的養護 / 保育士養成 |
研究実績の概要 |
本研究は、乳児院及び母子生活支援施設に入所する「外国につながりのある子ども」および保護者に対する支援の実際から、これからの日本社会における社会的養育のあり方と施設保育士の役割について検討することを目的とするものである。なお、本研究では、子どもが、外国人であることや外国籍であることだけに限らない、多様な背景を抱えていることを示すために「外国につながりのある子ども」という表現を用いる。 今年度は、日本社会における社会的養育のあり方と施設保育士の役割について重点的に研究を進めた。2017年8月、「新しい社会的養育ビジョン」が公表された。その内容は、里親委託率を3歳未満児については概ね5年以内に75%以上とすることなど、大胆な提案を含んだものとなっており、今後の社会的養護のあり方に大きな影響を与えるものとなっている。一方、2019年度より、新たな保育士養成課程が開始されたが、保育士は施設においても重要な役割を担っているにも関わらず、保育所等における乳幼児の保育・教育に期待される部分が強く、社会的養護に携わる職員としての専門性については、必ずしも明確にされているとは言えない。そこで、近年の社会的養育をめぐる動向について検討するとともに、そうした動向をふまえた、保育士養成をめぐる課題について整理を行った。 その結果以下のことを提示した。(1)「ビジョン」でも示されているように、子どもの特別なニーズに合った養育を保障する専門性の高いケアのあり方は、今後いっそう求められるであろう。それは、現在の社会状況・家庭問題をふまえたうえで、保育士が子どもの最善の利益を保障する児童福祉の専門職である限り欠かすことはできない。(2)「社会的養育」という視点に立つならば、ソーシャルワークの視点は、施設保育士のみでなく、保育所の保育士や認定こども園の保育教諭においてもこれまで以上に求められるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(3)やや遅れている。とした理由は次のとおりである。 本研究では、実際に外国につながりのある子どもや保護者の支援を行っている乳児院・母子生活支援施設職員に対するインタビュー調査を実施し、その結果に基づいて、1)乳児院及び母子生活支援施設に入所する子どもや保護者の現状と背景を把握し、2)施設入所時から退所後も含めた支援の課題を明確化するとともに、3)これからの社会的養育システムにおける乳児院・母子生活支援施設及びそこで働く施設保育士に求められる役割について提示しようとするものである。 研究開始時は、2018-2019年度にかけてインタビュー調査を実施するとともに、国内外の外国につながりのある子どもに対する社会的養育、母子支援をめぐる実践、政策展開についての先行研究の整理を行い、最新の動向をおさえると予定をしていた。しかし、2018年度半ばに、急遽、研究分担者の変更が生じたため、研究グループ内で研究の役割分担の変更と研究計画の見直しを行うこととなった。また、出入国管理法の改正により外国人労働者の受け入れ拡大に向けた動きが広がったことで、新たな動向を正確に押さえた上で、当該の子どもや保護者の問題を分析、検討する必要性が生じた。その結果、インタビュー調査を2019年度以降に実施することとし、今年度は、社会的養育をめぐる動向と保育士養成の課題を整理するとともに、外国人受け入れ拡大に向けた政策動向に関する情報収集を進めることに注力するとした。 研究の進め方に変更は生じたものの、上記課題の整理は研究全体の課題の整理にもつながり、インタビュー調査においても有効に活用できる視点を得ることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、インタビュー調査を実施するとともに、国内外の外国につながりのある子どもに対する社会的養育や母子支援をめぐる実践やおよび先行研究と政策展開についての整理を行い、最新の動向をおさえる。研究情報収集として、関連学会・研究会への参加を行う。インタビュー調査を実施するための準備は2018年度末より行っている。 2020年度は、この調査結果の考察と研究動向の整理をもとに、現場へのフィードバック・インタビューを行いながら、当該の子どもと保護者を対象とした社会的養育のあり方について検討する。また、施設職員や保育士養成施設教員等との研究会を持つことにより、日本における現行の家族制度や社会福祉制度その他法規上の課題も明らかにするとともに、施設及び施設保育士の役割の明確化や今後必要となる手立てを提示する。 2019-2020年度にかけて、日本保育学会・対人援助学会等のにおける発表及び同学会誌や紀要等の論文として公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度使用予定の研究費が生じた状況として、2018年度半ばに、急遽、研究分担者の変更が生じたため、研究グループ内の研究の役割分担の変更と研究計画の見直しを行うこととなったことがあげられる。その結果、インタビュー調査を2019年度以降に実施することとし、2018年度は社会的養育をめぐる動向と保育士養成の課題の整理および外国人受け入れ拡大に関する情報収集を進めることとし、研究費の使用計画も変更することとなった。 (使用計画) 【物品費】引き続き先行研究の整理と蓄積の継続を行うため、国内文献および外国語文献を購入する費用が必要である。またこれら資料の整理や、調査データの記録、保存のために、記録媒体や文具類を購入する費用が必要である。【旅費、および人件費・謝金】1)共同研究を進めるための研究会実施に係る旅費、2)インタビュー調査にかかる旅費、3)調査分析に係るテープ起こし代金、4)研究成果の報告や情報収集にかかる学会参加のための旅費、5)論文投稿時の英語要旨チェック代金、が必要である。【その他】先行研究の整理に係る国内文献および外国語文献の複写費が必要となる。研究成果の報告にかかる参加費、論文投稿時の投稿費が必要となる。
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