研究課題/領域番号 |
18K02181
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
牧里 毎治 関西学院大学, 災害復興制度研究所, 研究員 (40113344)
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研究分担者 |
大井 智香子 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (60352829)
山 泰幸 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30388722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域再生 / 地域資源 / 高齢者 / 生活困窮者 / 中間支援組織 / 伴走支援 |
研究実績の概要 |
2021年度も新型コロナウイルス感染拡大により、対面によるインタビュー調査や集合面談もできなかったため、文献研究が主たる内容となってしまった。オンラインによるインタビュー調査も可能ではあったが、実際には三重県伊賀市へのオンライン・インタビューと北海道釧路市へのオンライン・インタビューにとどまった。伊賀市社会福祉協議会への調査では、市内の過疎地域での高齢者による伝統的な食材再生を住民参加で行った地区(集落)の事例検討を行うことができた。釧路市の財団法人釧路社会的企業創造協議会への調査では高齢者をはじめとする生活困窮者による農業再生と地域再生の取り組みをオンライン取材することができた。伊賀市の事例では伝統的な食材である和菓子の再生と伝統文化という地域資源への着目が住民の地域アイデンティティを呼び起こし、そのことが誘因となり、クラウドファンディングという新しい住民組織化へつながっている。釧路市の事例では衰退していたフキ生産の再稼働に着目して農業資源である地域資源の再活性化を呼び起こしている。いずれも年金生活者である高齢者が地域再生の中核的な担い手になっているが、当事者である住民だけでは取り組みが困難であることが見えてきた。二つの事例分析では住民の主体的な活動が前提ではあるが、後方支援・伴走支援をする中間支援団体の存在が大きいことが判明している。伊賀市における社会福祉協議会、釧路市における財団法人がまさに中間支援組織の役割を果たしていた。量的にインタビュー対象団体を確保できなかったので、結論を急ぐことはできないが、生活困窮者の地域参加の方向性は見えてきているといえるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、人口減少や少子高齢化の進行している過疎地域や中山間地の生活困窮者の役割や居場所の確保などにより地域再生と生活支援のダブル展開が可能ではないかという仮説のもと、実証的な検討を行うことを目的としてきた。新型コロナウイルス感染拡大により社会的接触の自粛など対面的な調査活動に打撃的な影響を被ったが、オンラインによる間接インタビュー調査などでカバーしてきたといえる。しかしながら、質的調査なので被調査者との信頼関係に基づく長期的・継続的なインタビューには限界もあった。平常時での調査設計では予測できないこともあり、試行錯誤の連続ではあったが、これらのことが研究における主な遅れの原因となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染が今後どうなるか、その状況にもよるが、やや収まりつつある予測もあり、実際のインタビュー調査も再開の見通しを立てる予定である。調査対象地も全国規模にこだわるのでなく、近畿圏、東海圏などに重点を置き替えて、インタビュー調査を練り直す必要がある。その際、パネルディスカッション方式の集合面談調査なども視野に入れて検討中である。全国的な遠隔地調査については、引き続きオンライン・インタビューの可能性を探りながら展開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により当初予定していた都道府県をまたぐ調査地への対面インタビューやそれに代わる被調査団体の招へいによるパネルディスカッション集合調査などが実施できなくなり、予算を使用する機会を失ってしまった。オンラインによる会議に備えるため通信容量の大きいパソコンなどの購入など臨時出費も生じたが、出張費など予算未消化のため、残額は次年度繰り越しとした。使用計画については、現地調査などの概ね出張費などを想定しているが、パネルディスカッション方式の集合面談調査など被調査者への謝金費用などに充てる予定である。
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