| 研究課題/領域番号 |
18K02183
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| 研究機関 | 兵庫医療大学 |
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研究代表者 |
上山崎 悦代 兵庫医療大学, 共通教育センター, 講師 (80711655)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 終末期ケア / ソーシャルワーク / IPW / IPE / 住民 |
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| 研究実績の概要 |
平成30年度に行った研究は、A県B市で終末期ケアに従事する多職種に対するインタビュー調査とその内容分析である。
本調査は、地域住民基盤型の住民・専門職協働教育プログラムの開発に向けて、「専門職が把握する地域住民の終末期ケアに対する認識」を明らかにするために行った。具体的には、介護支援専門員、訪問看護師、医師として業務に従事する多職種（医師、薬剤師、看護師、社会福祉士、介護職）を対象にインタビューを実施した。
インタビューの内容分析では、B市特有の利点と課題が浮き彫りとなった。具体的な利点としては、コンパクトな市のため専門職同士の連携が取りやすいことが第一に挙げられた。おおよそ顔の見える関係が取れていることから、専門職同士の多職種連携（IPW；Interprofessional Work）は良好と考えられた。一方、B市の特徴は高所得者が多いことであるが、それ故に大病院や権威ある医療機関・医師に依存する傾向が強いことが明らかとなった。住み慣れた地域での終末期ケアを展開する場合には、在宅ケアに取り組む診療所や訪問看護ステーション、居宅支援事業所等の存在が重要となる。同時に、地域住民自身がこれらをうまく活用していくことがポイントとなるだろう。今回の調査では、終末期ケアや看取りについて住民同士あるいは住民と専門職が気軽に話す場があまりなく、住民が十分な情報を得られていない可能性も示唆された。そのため、住民と専門職が相互に関わることができる場づくりが今後の課題であると考えられた。
なお、終末期ケアを含む地域包括ケアの推進には、各市町村の特徴を踏まえた取り組みが必要となる。当初計画ではB市のみの調査を予定していたが、本調査を行ったことで、B市とは対照的な市町村との比較を通して分析を深める必要性を確認した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた研究計画では、2つの調査を行うこととしていた。調査１では、終末期ケアにおける多職種連携（IPW）の認識や地域の実態を把握するために行う住民と専門職を対象とした質問紙調査を行い、調査２では、終末期ケアに従事する多職種と住民に対するインタビュー調査を実施することであった。
平成30年度は、調査２のうち多職種に対する調査を実施しおおよその内容分析は行ったが、住民に対する調査は行っていない。その理由として、日々住民に接している専門職への丁寧な聞き取り調査を行うことで、より実態に迫ることができると判断したためである。まずは、地域住民の支え手となる専門職間連携の実態を把握し、更に、専門職の目から見た住民意識を確認することが重要だと考えた。
以上のことから、当初予定とは異なる進捗となり全体的に研究の遂行が遅れている。
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| 今後の研究の推進方策 |
まずは、平成30年度に実施した調査の詳細な分析と追加調査を行う。特に、先の調査で明らかとなった「他市町村との比較を通した分析」については、文献調査と他市町村への視察もしくはインタビュー調査で補完する。さらに、住民対象の調査方法はインタビューによる質的調査を中心とし、丁寧な実態把握を行う。
同時並行で、教育プログラムの開発と試行に取り組む。プログラム開発は、別でおこなってきた研究（終末期ケアを担うソーシャルワーカーを対象とした教育プログラム開発）が大いに参考になると考えている。この知見も活用しながら、年度前半には開発を予定する。年度後半には、実際に教育プログラムを試行し評価も行う。評価項目は、先行研究や本研究の各種調査を参考に設定する。
この内容を確実に展開することで、当初予定の研究計画を遂行する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は、予定していた質問紙調査を実施しなかったため、データ分析用パソコン、分析用ソフトウエア、調査のための通信費を支出しなかった。さらに、学会参加や研究打ち合わせ用の旅費を計上していたが、学会に参加しなかったこと、打ち合わせを所属機関でおこなったことから旅費を支出していない。以上のことから、当初予定の支出見込みより大幅に少ない支出となった。
平成31年度は、多職種に対する質問紙調査を実施し、インタビュー調査も継続して行う。さらに、教育プログラムの試行を予定することから、会場費や旅費の支出が見込まれる。また、複数の関係学会に研究成果を発表する。そのため、平成31年度は平成30年度の支出分を使用する予定となっている。
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