令和5年度は、令和2年度から令和4年度に取り組んだ「地域住民と専門職が協働する終末期ケア」に関する多職種連携教育(IPE=Inter Professional Education)の検証を中心に研究を進めた。またその成果は小冊子にまとめて発行し、本研究に関わった地域住民や複数の専門職に配布した。 今回の取り組みにおけるIPEは、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」を主題として実施している。ACPは、「人生の最終段階における暮らしの希望」や「受けたいケア」などが素材となることから、参画する人々の持つ価値観の影響が大きく、専門職・地域住民の違いにかかわらず、「自分自身の考えや価値観を他者に伝える」「他者の思いや考えを傾聴し相互理解を深める」といった行為は、各自が想定していた以上に困難であることが確認できた。また、地域住民にとって、日常生活の中でACPに関わる話題を取り上げることは多くないため、専門職の関わりを通して相互に話せる機会を設定する必要性を認識することができた。 さらに、本IPEを通して、専門職や地域住民等との継続的な関わりが持てる関係性を構築できた。ACPを地域で展開するための課題の共有では、「ACPについてさりげなく話題に出来る具体的な取り組みを検討したい」という、IPEだけではない新たな課題を抽出することができた。 なお、地域住民を対象としたインタビュー調査の実施を予定していたが実施には至らず、計画年度内では完了できなかった。
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