| 研究課題/領域番号 |
18K02189
|
|---|
| 研究機関 | 秋田県立大学 |
|---|
研究代表者 |
陳 介余 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20315584)
|
|---|
| 研究分担者 |
張 函 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10315608)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
| キーワード | フライポテト / フライ油 / 劣化 / 近赤外 |
|---|
| 研究実績の概要 |
最近、劣化された脂質とトランス脂肪酸も摂取量に配慮すべき食事因子として認識され始めた。フライ食品に含まれた脂質の劣化度とトランス脂肪酸含量の分析は、一般的には日本基準油脂分析法に記載された化学的方法やガスクロマトグラフ法などの機器分析法を使っているが、脂質の前処理が必要であり、分析にも時間を要し、分析後のデータ解析も煩雑であるため、現場での利用が著しく困難である。一方、近赤外分光法は非破壊、迅速的な分析法として化学工業、製薬、医療、農業や食品など、きわめて有効かつ広い分野で利用されている。そこで、フライ食品に含まれたフライ油（脂質）の劣化度およびトランス脂肪酸含量と食品の近赤外吸収スペクトルとの関わりを調べ、フライ食品内の脂質の劣化度およびトランス脂肪酸含量を迅速的に計測する技術の開発を試みる。
平成30年度では、フライポテトに含まれたフライ油の品質情報を十分有する近赤外スペクトルの適切な測定方法を考案した。フライ食品の形状を考慮して、反射方式や透過方式またはインタラクタンス方式を用いた様々な方法を試して検討した結果、反射方式は簡便でフライ油の品質情報を十分有する近赤外スペクトルを採集できた。さらに、菜種油を用いて、各種温度下でポテトフライ試験を行うと同時に、劣化フライ油およびフライポテトをサンプルとして同時に採集し、フライ油の劣化状態の分析とフライポテトの近赤外スペクトルと赤外スペクトルの測定を行い、その関連性を調べたところ、赤外スペクトルと近赤外スペクトルのいずれのスペクトルとフライ油の品質劣化との関連性を確認できた。近赤外スペクトルによるフライ油の熱劣化程度の迅速測定技術を構築するための基礎データが得られた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の計画通り、菜種油をはじめ数種類の植物食用油を用いてポテトフライ試験を実施した上で、フライポテト試料を採集してその近赤外スペクトルの測定方法を検討した。その結果、最適な反射方式を採用して、簡便でフライ油の品質情報を十分有する近赤外スペクトルを採集できた。さらに、ポテトフライ試験から採集されたフライ油の劣化とフライポテトのスペクトルの関連性の検討を順調に進めた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
2019年度では、さらに数種類の植物食用油を用いてポテトフライ試験を実施して、フライ油の劣化とフライポテトのスペクトルの関連性を検討する。採取されたフライポテト試料を用い、近赤外スペクトルの微分やMSCなど前処理を施しながら、フライ油の酸価、カルボニル価、総極性化合物量およびトランス脂肪酸などの劣化値と近赤外吸収スペクトルの関係をPLS1とPLS2の多変量回帰分析法で解析を行うと同時に、異なる植物油の違いによる測定の影響を検討する。また、これまでの結果を整理して系統的にまとめて国内外の学術会議での発表および科学雑誌に論文として投稿を行う。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
「次年度使用額（B-A）」」欄に164,636円の残金が残っている。これは、予定した国際学会発表および国際誌の論文校正は次年度(2019年度)になったためである。この差額は、今年度に学会発表および国際誌の論文校正費用或いは学会発表の参加費などにあてる予定である。
|
