研究課題/領域番号 |
18K02190
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研究機関 | 盛岡大学 |
研究代表者 |
秦 希久子 盛岡大学, 栄養学部, 准教授 (60781713)
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研究分担者 |
佐藤 ななえ 盛岡大学, 栄養学部, 教授 (80594796)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 障害児・者施設 / 給食経営管理 |
研究実績の概要 |
本研究では障害児・者施設の給食経営管理ガイドライン作成および栄養・食生活支援のための教材開発とその効果検証をすることを目的として、研究を進めて いる。 2019年度は、2018年度に課題となった、障害児・者施設で実際に働く栄養士・管理栄養士の意見交換を目的とした研修会およびグループワークを2020年2月26日に実施した。その際、参加者バイアスがかからないよう、盛岡市保健所と盛岡大学の共催で研修会を開催し、盛岡市の障害児・者施設および特別支援学校全て(19施設)に研修会の周知をした。 参加者は10名であった。グループワークでは、参加者を2グループに分け、①給食業務を実施する上で課題だと考えていること、②対象者・対象者家族に必要な食生活指導の内容とそのために必要な教材は何かを付箋に書いてもらい、カテゴリーごとに分類し、最後にグループのリーダーがそれぞれ出された意見を発表した。 障害児・者施設の給食の課題として出された内容として「障害者の方の給与栄養目標量の設定」「家庭と施設での生活習慣病対策の温度差」「栄養教育の方法」「障害についての知識不足」「障害関係の栄養・食生活の研修会や施設間どうしの交流がない」などが挙げられた。必要な教材としては、嚥下機能の低下に伴う食形態の判定基準や咀嚼を促すための訓練方法などが挙げられた。障害児・者給食施設や特別支援学校の栄養士・管理栄養士を対象に、給食提供のための情報共有や課題解決のためのヒントとなる研修会を今後も定期的に実施する必要がある。 本研究結果は第29回健康教育学会学術大会(令和3年7月 青森県)で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は、2018年度に実施する予定であった、障害児・者施設の給食業務に関わるスタッフへの研修会およびグループワークを2月に開催した。2019年度は盛岡市のみの実施となっている。予定では、岩手県、青森県の内数か所で3月にグループワークを実施する予定であり、施設との調整も終わっていたが、新型コロナウィルス感染予防のため、グループワーク開催が延期となり、開催日の目途がたっていない。webでの開催も試みたが、web環境が整っている施設ばかりではないため、予定より研究が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
「障害児・者施設の給食従事者への研修会およびグループワークによる給食業務の業務内容やその課題の抽出」を、新型コロナウィルス感染予防対策をしながら、延期となっている地域で実施する。さらに、障害者施設に通所・入所している当事者および家族(調理担当者)へのインタビュー調査を岩手県、青森県で実施する。この研究 により、障害者施設を実際に利用する当事者の給食に対するニーズや課題、施設側の想いとのギャップが明らかとなり、ガイドラインの基礎資料となる。さらに、通所の場合は、調理担当者の家族の食事づくりの課題や困っていることについて検討することで、教材開発のエビデンスが構築できると考える。 本研究は、青森県と岩手県のみで実施であるため、地域バイアスや施設バイアスの可能性があり、障害児・者施設の給食に関する課題についての全国調査も視 野に入れながら研究を進めていく。 研究成果は日本栄養改善学会および日本健康教育学会、給食経営管理学会などで発表を行い、論文の投稿に向けて準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた、障害児・者施設の給食業務に関わる栄養士・管理栄養士の研修会およびグループワークが一部のみしか実施できていないため、助成金が使用できていない状況である。理由としては、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、研修会が実施できなかったためである。2018および2019年度で使用できなかった助成金については、2020度に研修会およびグループワークを実施するため、その会場費や資料費、調査協力者の交通費、課 題抽出のためのテープ起こしの業務委託、学会発表のための旅費などに使用する。次年度分の助成金については、当初の予定通り、障害児・者施設に入所・通所する当事者や家族にインタビューを実施するための交通費や調査謝礼、アルバイ ト謝金、学会発表の旅費などに使用する。
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