本研究では、障害児・者施設の給食経営ガイドラインの作成および栄養・食生活支援のための教材開発とその効果検証を目的とした。研究助成は本年で最終年度となる。新型コロナウイルスの爆発的感染拡大の影響を受け、ガイドラインに向けた追加調査および栄養教育教材の開発をするための調査を進めることが難しい状況であり、研究助成期間を2年間延長した。給食経営のガイドラインを作成するため、2023年度は、2019年度に実施した障害児・者施設で働く栄養士・管理栄養士の意見交換を目的とした研修会およびグループワークにて抽出された給食の課題をもとに、さらに詳しく実態把握を行った。研修会に参加した栄養士・管理栄養士とは別の障害児・者施設で勤務する管理栄養士・栄養士、これらが配属されていない施設には給食に携わる職員を対象に、給食の課題および工夫していることについて個別インタビュー調査を行い、分析をした。 障害児・者施設にむけた教材開発では、2022年度に作成し、食育の授業に導入した視覚障害児向けの音声による食育教材(料理説明のセリフと調理音で構成された音声データ)について、研究協力先となる視覚支援学校の栄養教諭や養護教諭、担任からの課題や意見を反映させ、改良した音声教材を作成した。この改良した教材を2023年度に栄養教諭が食育の授業に導入し、生徒に所有するiPadのアプリを通じて授業中に視聴してもらい、教材の導入効果を検証した。生徒の様子を栄養教諭と担任、養護教諭等に注意深く観察してもらい、生徒の興味を惹く教材であることが確認できた。様々なバーションの教材の要望もあることから、今後も視覚障害児・者に適した食育教材の開発が必要である。 2023年度に実施したガイドライン作成に向けた研究および食育教材の開発については、2024年度に学会発表を行う予定である。
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