研究課題/領域番号 |
18K02192
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
阿久澤 さゆり 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (60256641)
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研究分担者 |
日下部 裕子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, ユニット長 (90353937)
花城 勲 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30336325)
早川 文代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, ユニット長 (00282905)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 澱粉 / 新規米 / 味物質 / 動的粘弾性 / 溶出糖 / レオロジー |
研究実績の概要 |
本年度は、作出した新規米から分離した澱粉の構造解析とレオロジー特性の相互関係を検討し、その糊液に分散させた味物質の溶出挙動を示した。澱粉の構造解析の結果、新規米の澱粉のアミロペクチンには、超長鎖の割合が多く、これが低粘度性の発現要因であると考えられた。また、動的粘弾性特性では、顕著に貯蔵弾性率が低く、ネットワークを構成しにくい分散系であることが明らかになった。これらの糊液を遠心分離により、低分子画分と高分子画分に分画し、各画分の糖量を測定した、その結果、SSIIIa欠損の変異体米澱粉糊液の低分子画分が有意に多く、澱粉が低分子化していることが示された。さらに、分画した糊液をイソアミラーゼで枝切りしたのち、ゲル濾過クロマトグラフィーで分子量分布を測定した結果、SSIIIa欠損の変異体米分離澱粉において、アミロペクチンのFr.III画分が有意に多く、低分子画分を構成するアミロペクチンの構造は、短鎖が多い構成であることが示された。以上の結果より、糖合成酵素を欠損させた新規米は、野生型とは大きく異なった構造を持つ澱粉を貯蔵していることが明らかとなった。その澱粉のレオロジー特性は野生型とは明らかに異なり、それぞれの糖合成酵素の欠損によって、特徴あるレオロジー特性を発現させることが可能であることが示唆された。 一方、澱粉糊液に味物質を分散させて、味覚細胞応答測定を行ったところ、澱粉糊液の濃度が高くなるに従い、応答強度が減少する傾向が示された。この応答強度は、共存多糖の種類と特性により異なり、味物質がどのような分散系に共存しているのかという状態によって、味強度が異なることが示された。
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