研究課題/領域番号 |
18K02194
|
研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
石原 三妃 松本大学, 人間健康学部, 准教授 (30290109)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 冷凍ポテト / 音解析 / 破断測定 / 水分 / 重量 |
研究実績の概要 |
冷凍フライドポテトを電気フライヤー(形名:CDF-100JBSコンエアージャパン合同会社)を使用し、170℃で揚げた。SONY 製のPC MIC高音質PC用ボーカルマイクで加熱調理中の音を収集し、音解析ソフト「SoundEngine ver.5.21」で解析を行った。破断測定はYAMADEN製のRHEONERⅡを使用し、水分・重量測定を行った。また、低水分の試料として春雨、複合的な高水分含量食品として、野菜の天ぷら、鶏のから揚げを用いた。プロの調理を参考にするために中華料理のシェフの調理の様子を撮影した。 冷凍ポテトは、1回に揚げる量は1本では音が小さかったため、94.0g±0.5g(約30本)とした。音の波形は試料投入直後では大きく、その後小さくなり、1分30秒以降では変化が小さくなっていく傾向が見られた。一方で平均音量は投入直後(30秒)では、大きく1分後急激に小さくなったが、1分後~1分30秒にかけて再び大きくなった。揚げ調理操作の映像を確認した結果、泡の大きさや量に大きな変化が見られていた。泡は30秒よりも1分で小さく量が少なかったが、1分30秒では1分に比べて大きく量も多くなった。破断測定では0秒~30秒では破断歪率が大きく解凍状態のため軟らかく、3分30秒以降では破断応力が徐々に大きくなり、表面が硬くなっていくことが分かった。水分、重量測定では時間の経過につれて水分、重量ともに減少した。揚げ調理中に水分が急激に脱水され、比重が軽くなった。3分30秒頃からきつね色となり、表面が硬くなり始めた。春雨は加熱直後に最大音量を示し、短時間に波形は小さくなった。シェフの調理において、音だけでなく、食材を持ち上げた時の重量感覚を、揚げ上がりの判断材料として重視していた。また唐揚げの方法としては2度揚げを行っていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は、さまざまな食品の揚げ調理音のサンプル収集を行うこと。水分量と音の関係について調べること。音と力学特性の関係について調べることを予定していた。 予備実験から続けていた冷凍のポテトを中心に、唐揚げ、天ぷらなど一部の食品については音の収集を行うことができた。また同様に一部の食品については調理音と力学特性の関係については検討することができた。さらに、31年度(令和元年度)に予定しているプロフェッショナルの調理人の映像撮影について一部行うことができた。ただし、音のサンプルはより多くの食品についてサンプルを収集し、水分、力学特性との関係を検討したいと考えていたことから、進捗状況としては「やや遅れている」と評価した。今年度の予定内容をすべて行うことはできなかったが、次年度の予備的検討として、プロフェッショナルの調理の状態を撮影することができ、その中でプロの調理増体の判断の一つが油から端で持ち上げた時の食材重量変化にあることを知ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、食材の音データを取集数が、予定より少なかったため、次年度にかけて増やしたいと考えている。また、解析項目を増やすため、音解析ソフトの変更を検討している。平成31年度(令和元年度)の予定として、プロフェッショナルの調理人がどのような基準で揚げ調理の仕上がりを判断しているかを映像分析とアンケート調査を中心に検討する予定としていたが、これに加えて、平成30年度に不足していた音データの収集を合わせて行うことを予定している。全体としては、今年度のうちに昨年の遅れを取り戻す予定である。プロの調理人の映像としては、松本大学にプロの方に来ていただいて音を含めた映像撮影を行う場合と、調理人の方の仕事現場に伺い撮影を行う場合を想定している。アンケート調査は一部取材の形で松本市内の飲食店で行い、一部は郵送により行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
音収集ソフトについて、平成30年度のうちに新しいソフトを購入する予定であったが、今年度の内容については既存の設備で対応してしまったため使用額に差が生じた。また、検討する食品が当初予定していたものより少なかったことも要因の一つである。平成30年度に予定されていた内容については、変更の予定はなく、平成31年度(令和元年度)に内容を持ち越して行う予定であり、次年度使用額は予定通り使用するものである。
|