研究課題/領域番号 |
18K02194
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研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
石原 三妃 松本大学, 大学院 健康科学研究科, 准教授 (30290109)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 揚げ物 / 水分含量 / 温度 / 音 |
研究実績の概要 |
調理中の音変化のモニタリング方法および分析方法を検討するため、本研究を行った。昨年度、冷凍ポテトフライを試料として揚げ加熱調理時の音の測定が可能であることを確認した。冷凍食品の場合は、揚げ油に試料を投入した直後の音量が大きくなり、加熱時間の経過とともに小さくなることを報告した。 今年度は、常温の食品を調理するときの音の測定を主に行った。揚げ物の調理音は水分の蒸発によるといわれていることから、食品の水分含量に着目して検討を行った。その結果、玉ねぎ、にんじん、ピーマン、じゃがいも、エリンギ、の測定結果から、明確な調理音の違いは認められなかった。また、水分含量を変化させた小麦粉ドウの測定を行ったところ、水分含量の違いによる明確な調理音の違いは認められなった。ただし、表面の状態は調理音に影響することが推察された。次に、揚げ油の温度を変化させて、音の測定を行った。その結果、調理音は調理するときの油の温度により変化することが示唆された。 食品の形状を変化させると調理音は変化した。冷凍食品と比較して、常温の食品を油に投入した場合は、調理音は小さく、調理時の油と食材の温度差が大きい場合、調理音は大きくなったと考えられた。このように水分含量が無関係ではないものの、食材の様々な状態が調理音に影響していることが推察された。今回は脂肪を含む肉などは試料としなかったため今後は水分だけでなく、脂肪の溶解の影響についても検討する必要があると考えられた。 今年度は、実際の調理の様子を撮影する予定としていたが、コロナウイルス感染予防対策 のため、中止とした。今後の状況が不明であるため、研究予定を大幅に変更する必要があると考えられる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
多くの食材についての測定データが取れてきた。食材の種類や状態により、調理音の違いがあることがわかってきた。 しかし、コロナウイルスの影響により、年度末に行う予定としていた調理人による撮影、観察、録音ができなかった。撮影の際に合わせて併せてアンケート調査も予定していたため、進捗状況の区分としては、「遅れている」と評価せざるを得ない。 年度の前半に行わなかったことを大変悔やんでいる。今後の状況を勘案し、検討手法を修正することを考えたい。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討の中で、調理時に発生する泡の大きさと音量の関係性が示唆された。このことから画像解析を取り入れることを検討したい。また、調理従事者からの聞き取りより、食材の重量感覚と揚げあがりが関係していることが推測された。このことから、揚げ調理時の重量変化を測定することとする。また、各食品の物性測定を行い、音、物性、調理時の外観、重量の関係を見極めるとともに、観察の中で総合して揚げ調理に関係する因子を見つけ出し、分析していきたい。可能であれば、人を介した実験を行いたいが、今後の社会の状況により判断することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末にまとめて行うはずの実験を行うことができず謝金の支払いがなく、録画機器部品等の購入を行わなかったことが次年度使用額が発生した主な原因である。次年度は画像解析を取り入れる予定としているため、画像解析ソフトの導入を予定している。
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