研究課題/領域番号 |
18K02194
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研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
石原 三妃 松本大学, 大学院 健康科学研究科, 准教授 (30290109)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 騒音計 / FFT分析 / オクターブ分析 / 揚げ調理 / 音 / 水分 |
研究実績の概要 |
これまで使用していた解析ソフト「SoundEngine Free ver.5.21」では、2020年度までの検討により、揚げ加熱調理中の音についてデータを収集することが可能であることが確認できた。2021年度はより詳細な解析を行うため、リオン製の普通騒音計 NL-42を用いて調理中の音測定を行った。測定においては、電気フライヤー(CDF-100JBSコンエアージャパン合同会社)の上部30cmに防風スクリーンを装着した騒音計を設置し、調理中の音解析を試みた。騒音計の隣にビデオカメラを設置し、揚げ鍋が上から見下ろせる位置でビデオ撮影を行った。試料は以前使用していた解析ソフト「SoundEngine Free ver.5.21」を使用した実験において、用いた冷凍フライドポテトを、先の実験と同様に1回の調理あたり30本用いた。その結果、オクターブ分析およびFFT分析より、調理音の比較を行うことができた。騒音計が調理音の測定に有効であると推定されたため、次に小麦粉に水を加えたドウおよびバッター生地を用いて、食材の水分量による調理音の変化を測定した。同時に揚げ油の表面の様子をビデオ撮影により観察した。その結果、水分量が極めて多い試料は試料を油に投入した直後の最大音圧が非常に大きく、時間経過とともに音圧は小さくなった。水分量が少なくなると小麦粉生地を調理した場合の最大音圧は小さくなった。水を添加せず小麦粉のみを170℃の油に投入すると、投入時~3分間経過の間の音圧は極めて小さくなった。また、ビデオ撮影の結果、水分量の多い食材においては食材投入直後の泡立ちが多く、水分量の低い食材では泡立ちは少なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
20201年も松本地域でコロナウイルス感染者が多く、感染警報レベルが高い時期が続いた。そのため大学では学内への立ち入りに制限があった。特に長期休業中に制限があったことが進捗状況の遅れに影響したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の検討により、普通騒音計 NL-42が測定に使用できることが確認できたので、今後もNL-42の測定を中心に調理中の食材の変化について音を検討することで把握していく予定である。これまでの検討で水分量と調理音に関係があることが推測されたが、揚げ調理に用いる食材の多くは多成分系であるため、水分以外の成分の影響について検討する予定である。また、形状の違いによって調理音が異なることが予想されるため、食材の切砕方法を変化させて測定を行う予定である。揚げ物調理について、音の変化に及ぼす影響をまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に遅れが生じたため、2021年度実験用の消耗品、PC購入を行わなかった。そのため予定した使用額を次年度に持ち越す事態になってしまった。
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