研究課題/領域番号 |
18K02196
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
吉田 宗弘 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (30158472)
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研究分担者 |
細見 亮太 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (20620090)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 鉄 / 栄養有効性 / ヘモグロビン / スプレードライ / フリーズドライ |
研究実績の概要 |
本年度は加熱の有無による鉄の栄養有効性の変化を評価するため、牛肉に含まれている鉄の化学形態であるヘム鉄に焦点を絞り、凍結乾燥またはスプレードライによって調製したヘモグロビン粉末(それぞれFD-HbおよびSD-Hb)をラットに給餌し、鉄栄養有効性の評価を行った。 雄ラットを用いて栄養試験を行なった。鉄給源(20 ppm)を硫酸鉄、FD-Hb、SD-Hbとする3群を設けた。飼育開始後24日目から3日間、ステンレス製代謝ケージを用いて、糞を採取した。28日飼育後、常法により採血し、肝臓、腎臓および脾臓を採取した。血清の鉄関連指標を測定した。さらに肝臓、腎臓、脾臓および糞を湿式灰化し、原子吸光光度計で鉄含量を測定した。 血清分析結果、血清鉄、ヘモグロビンおよびヘマトクリット値は硫酸鉄群でHb粉末群(FD-HbおよびSD-Hb群)と比較して、有意に高値であった。また、血清総鉄結合能、血清不飽和鉄結合能はHb粉末群で硫酸鉄群と比較して有意に高値であった。各臓器中の鉄濃度は、硫酸鉄群でHb粉末群と比較して有意に高値であった。このことから、Hb粉末群と比較して硫酸鉄群の鉄栄養状態が良いと判断できる。一方、乾燥方法の異なるHb粉末の2群について確認すると、血清鉄、ヘモグロビンおよびヘマトクリット値はFD-HbおよびSD-Hb群間に大きな違いはみられなかった。また、肝臓、腎臓および脾臓中の鉄含量においても、FD-HbおよびSD-Hb群間に大きな違いはみられなかった。 以上のことから、乾燥方法の異なるFD-HbおよびSD-Hb粉末はラットの鉄栄養有効性には大きな違いはないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の実施予定であった、乾燥方法(加熱および非加熱乾燥)の異なるヘモグロビン粉末中の鉄栄養有効性にどのような変化が生じるかについて動物実験によって評価した。その結果、ヘモグロビン粉末においては加熱による影響はほとんど見られなかった。このように2019年度実施予定であった研究項目について順調にデータが得られていることから、「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は加熱の有無による鉄の栄養有効性の変化を評価するため、非加熱および加熱処理を施した牛肉およびマグロ血合肉をラットに給餌し、鉄栄養有効性の評価を行う。ラットが軽い貧血状態になるように、餌料中の鉄濃度は15 ppmに調製し、一定期間飼育後、血液の鉄栄養指標について評価する。また血合肉については加熱による物理化学的変化についても評価を行い、鉄栄養有効性との関係を評価する。
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