申請者らは100℃以下の蒸気で加熱する「低温スチーミング」でブロッコリーの小房を加熱すると,80℃~100℃,加熱5~15分でアスコルビン酸が増加する現象を見出した。本研究では,種々の野菜類に低温スチーミング加熱を行い,アスコルビン酸,遊離糖,アミノ酸などの測定を行い,加熱温度や加熱時間と食味の変化,色や物性の変化との関係,ならびに調 理温度と食味や機能性の関係について明らかにすることを目標とする。アブラナ科の野菜であるミズナ,キャベツ(葉柄および葉身)を試料とし,チームコンベクションオーブンのスチームモード(60℃,70℃,80℃)で それぞれ0,5,10,15 分加熱後,簡易測定装置のRQフレックス(メルク)を用いてアスコルビン酸含量を測定した。ミズナでは60℃加熱の0分と比較し,有意に減少したが,70℃,80℃加熱では5分では0分と有意な差はなく,それ以降は減少したが,60℃加熱と比べその割合が低かった。キャベツの葉身の60℃加熱では加熱5分で測定限界値以下となった。70℃加熱では加熱に伴い減少傾向であったが,80℃加熱では0分と比べて大きな減少が認められなかった。キャベツの葉柄の60℃加熱では5分以降は測定限界値以下となったが,70℃加熱では0分と比べ減少がほとんどなく,80℃加熱では10分で有意な増加が認められ,その後0分と同じレベルまで減少した。 前年度までのブロッコリーやコマツナの結果とあわせてみると,アブラナ科の野菜では,60℃加熱と70,80℃加熱でアスコルビン酸の挙動が異なり,70,80℃加熱アスコルビン酸の減少が抑制される可能性が示唆された。
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