研究課題/領域番号 |
18K02203
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
平島 円 三重大学, 教育学部, 教授 (80390003)
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研究分担者 |
高橋 亮 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30375563)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 澱粉 / アルカリ / 糊化 / 老化 |
研究実績の概要 |
アルカリ性に調整したコーンスターチの糊化過程についてゲルの物性変化から検討した.澱粉の糊化過程についてはDSC測定により評価した.pHは緩衝液と炭酸ナトリウムを用いて,pH6.4~13.1に調整した. pHを高くした20wt%コーンスターチゲルの破断応力と初期弾性率はpHが高くなるとわずかに低くなった.特にpH13.1の非常に強いアルカリ性では顕著に低くなった.また,破断歪はpHが高くなると低くなったが,強アルカリ性では高くなった.したがって,アルカリ性にpHを調整すると,やややわらかくもろいゲルを形成し,pHを13.1と高くすると,やわらかくしなやかなゲルを形成すると分かった. アルカリ性に調整したコーンスターチの糊化温度は,pH10.4以下の弱アルカリ性では,pH6.4の中性付近の糊化温度とほぼ同様で,アルカリにより変化はなかった.しかし,pH11を超える強アルカリ性では,糊化温度が低くなった.また,糊化エンタルピーはpH12程度まではpHが高くなるに伴い高くなったが,12を超える強アルカリ性では低くなった.すなわち,弱アルカリ性では糊化が起こりにくくなるが,強アルカリ性では糊化が起こりやすくなった. そのため,弱アルカリ性では,澱粉粒子から溶出したアミロースとアミロペクチン鎖の絡まりあいが少ないため,やややわらかくもろいゲルになったと考えられる.しかし,強アルカリ性では,糊化は促進されたにもかかわらず,やわらかいゲルを形成した.そこで,還元糖量を測定した結果,pH12.4を超える強アルカリ性では還元糖量の数が著しく増加することがわかった.したがって,強アルカリ性ではアミロースとアミロペクチン鎖の長さ短くなったために,絡まりあいが少ないことから,やわらかいゲルを形成したと考えられる.しかし,アミロースとアミロペクチン鎖の数が多いためにしなやかなゲルを形成したと考えられる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コーンスターチゲルのゲル強度の変化とコーンスターチ糊化過程については順調に結果を出すことができたため.また,アミロースとアミロペクチン鎖の長さの検討についても行い,コーンスターチゲルのゲル強度との比較を行い,考察することができたため. 老化過程について引き続き検討中であるが,ゲル強度の変化とDSC測定の結果が一致しないことについて評価方法を検討しなければならないため.
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今後の研究の推進方策 |
コーンスターチ以外の澱粉を用いてゲルを作成し,アルカリ性でのゲル強度の違いをコーンスターチゲルと比較しながら進める. また,老化過程を評価するため,ゲル強度とDSC測定の結果の解明を行う.
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