研究課題/領域番号 |
18K02205
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
柏木 丈拡 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (60363256)
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研究分担者 |
島村 智子 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (50350179)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒアルロニダーゼ阻害活性 / フラボノイド配糖体 / イタドリ葉部 |
研究実績の概要 |
当研究室では、イタドリ葉部のMeOH抽出物がマスト細胞からの脱願粒を強く抑制することを見出した。また、脱穎粒抑制活性と正の相関があるヒアルロニダーゼ阻害活性を測定したところ、高い活性が認められた。 各画分の活性を測定したところ、ヘキサン層66.9%、酢酸エチル層6.22%、クロロホルム層1.38%、BtOH層27.8%、水層上清92.6%、水層沈殿97.2%の阻害率を示した。ヘキサン層、水層上清、水層沈殿に高い阻害活性が認められたため、さらに分画を進めた。 水層上清をODSカラムクロマトグラフィーで0%、 20%、40%、100% MeOH画分に分 画したところ、40%MeOH画分に高い阻害率(40.0%)が認められた。そこで、40%MeOH 画分をHPLCに供し、保持時間に従いFractionl~7に分画し、活性を測定した。その結果、Fr. lが7.19%、Fr. 7が0.70%の阻害率を示した。一方で、他のFractionに活性は認めら れなかった。しかし、全ての画分を混合すると、活性が大幅に増加した(25.4%)。このことから、イタドリ葉が示すヒアルロニダーゼ阻害活性は複数の成分が、相加的あるいは相乗的に作用することで発現していることが示唆された。そこで単独のピークであるFr,2,3,4について構造解析を行った。NMR分析において、3つの画分ともフラボノイド配糖体に特徴的なシグナルを示し、解析の結果、Fr.2はOrientin、Fr. 3はIsoorientin、Fr. 4はVitexinと同定した。LuteolinおよびApigeninなどのフラボノイドはヒアルロニダーゼ阻害活性を示すことが明らかとなっている。また、RutinやHesperidinなどのフラボノイド配糖体も活性を持つことが報告されている。このことから、今回同定した3つの化合物が活性に関与していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘキサン層の活性成分の特定が思ったよりも難航しそうなため現在ペンディング中である。 そのことを除けばおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
高いヒアルロニダーゼ阻害活性が認められた水層沈殿の分画を進めていき活性成分を明らかにする。この画分は水溶性の低い高分子化合物が含まれると予想されるため、限外ろ過やゲルろ過クロマトグラフィーなど分子量の差違による分画方法を試みる。また必要に応じて、高分子化合物を有機化学的手法により単量体に分解しその構造を明らかにする予定である。 また活性成分が特定できれば、生体内での機能を明らかにする第一歩として,マスト細胞を利用した脱顆粒抑制活性の評価を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた細胞関係の実験が滞ったため。
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