研究課題/領域番号 |
18K02216
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研究機関 | 宇都宮短期大学 |
研究代表者 |
中川 英子 宇都宮短期大学, 人間福祉学科, 名誉教授 (70352573)
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研究分担者 |
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 長期家計簿 / 家計 / 生活設計 / 高度経済成長期 / 資産 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、老後の安定的な経済生活を実現したA家の52年にわたる家計資料から、①高度成長期に創設した一勤労者世帯が辿った生活史を明らかにすること、②今日的な生活設計研究に資する内容を明らかにすることであった。①については、既に研究当初2年間で、収入や資産の変動からA家が辿った50年余りの生活史を明らかにした。②については、本研究の3年目に、家族創設から世帯主が初職の定年退職を迎えるまでの34年間の家計簿を対象として、集計・分析した。 本研究の4年目となる本年度は、未集計であった残りの18年間(この期間に妻は常勤職に就き、就業継続している)について、家計簿の集計を行った。加えてA家の家計簿記帳の全期間(52年間)について分析を行った。 その結果、以下のことが明らかになった。収入は、家計簿記帳のほぼ全期間、世帯主のコーホートの平均値を上回るものであったが、教育や住宅などへの大型支出により、52年のうち7年間は赤字であった。これらの赤字は、数年単位で日々の生活費とライフイベントに係る費用を予算立てすることで平準化を図ることと夫の退職金により対応していた。また、A家の老後の安定的な経済生活を可能にしたのは、 1)専業主婦だった妻が30代後半に大学に進学し、その後フルタイムで雇用されたことで、夫の定年退職後も定期収入が確保できたこと、 2)積極的な不動産投資により収益が得られたこと、3)妻の夢(庭のある大きな持ち家に住むこと)を夫と共有し、具体的な目標として設定したことなどであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、分析を終え、研究成果全体をまとめることを予定していた。しかしながら、レシートをノートに貼り付けた家計記録(18年分)の細かな消費内容を分類し入力する作業に想定以上に時間を要し、年間全期間の入力完了がさらに半年ほどかかることが見込まれた。 そのためA家のすべての家計変動を分析することについては、当初の研究計画を見直し、研究期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果発表も採択されており、発表準備を進める。併せて、これまでの研究成果の全体まとめを行い、論文作成を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は、令和2年度アメリカで開催されることになっていた国際学会(IFHE)での発表を予定していたが、Covit-19ウイルス蔓延の影響で2年間延期となった。 このため、参加費、渡航にかかる費用分が未使用となっており、繰越を行った。令和4年度に実施されることになった国際学会での発表が採択されており、旅費・参加費の一部に充当する予定である。
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