研究課題/領域番号 |
18K02222
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
瀬渡 章子 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (60179348)
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研究分担者 |
中迫 由実 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30464275)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域子ども見守りシステム / 地域自主防犯活動 / ICT / 小学生の登下校見守り活動 / 防犯まちづくり / 自治体 |
研究実績の概要 |
日本における犯罪は2002年をピークに減少を続けてきたが、子どもが被害対象となる連れ去り事件は後を絶たず、増減を繰り返している。地域では、子どもを狙った犯罪の防止のための見守り活動が実施され、行政による活動支援、環境整備も少しずつだが進んできている。しかし、地域では活動の担い手の高齢化、活動のマンネリ化などの課題を抱え、保護者の共働き化の進行、学校教員の多忙化が際立ち、これまでのような学校・保護者・地域の連携による見守り活動は次第に困難になってきている。これらの背景から、近年急速に進歩する情報通信技術を使った子ども見守りシステムの導入が増えており、本研究は、新しい見守りシステムの効果と課題、地域の生活への影響、今後の地域見守り活動の役割について検討することを目的としている。 平成30年度は、ICTを活用した地域子ども見守りシステム導入を導入している関西の導入自治体4市の担当課および小学校を対象に聞き取り調査を行い、システムの内容・特徴、導入背景、システムの成果と課題等を整理した。 令和元年度は、全国の自治体を対象に、自治体が主導して実施する子ども安全対策事業の実態、その中でもICタグなどを利用した新たな見守りシステムの導入実態および課題を明らかにすることを目的に、アンケート調査を実施した。配布数1916票、回収数693票(回収率36.2%)である。 令和2年度はその分析を進めた。その結果、新しい子ども見守りシステムの導入率は低いが、地域の見守り活動の担い手の減少や高齢化の実情から、地域活動を補完するものとして今後の導入に前向きな自治体の存在も明らかになった。一方では地域特性から当該システムの必要性を感じていない自治体もあった。導入自治体からは、当該システムが子どもの安全確保に役立った事例の報告もあった。回答自治体には中間報告書を送付した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、子ども見守りシステムの実態を明らかにするために、導入自治体に対して聞き取り調査を行う計画としており、ほぼ予定通りに進捗した。令和元年度は、全国の自治体を対象に、自治体が実施主体となっている子ども安全対策事業の実態、その中でもICタグなどを利用した新たな見守りシステムの導入実態および課題を明らかにするために、アンケート調査を実施した。令和2年度はその分析を行ったが、コロナ禍により、新しい見守りシステムを導入している自治体への聞き取り調査、およびそのシステムを利用している小学校、小学生、保護者にたいして、利用実態、評価、課題等を明らかにするための調査が未着手となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、既に実施した自治体調査の分析を深めるとともに、その結果にもとづき新しい見守りシステムを導入している小学校を対象に保護者や小学生の利用実態、評価、課題を明らかにするための調査を実施したい。さらに、新たなシステムを導入している自治体への聞き取り調査も引き続き実施する。 ただし、今後予定している小学校対象の調査については、新型コロナウイルス感染拡大状況次第では再び実施が困難になることも考えられる。学校現場は新型コロナウイルス感染対策で大変な状況にある。子どもの防犯も重要な課題に違いないが、この時期の調査依頼は学校関係者の負担増につながり、調査協力が得られないことが危惧される。様子をみて、予定の方法での調査が無理な場合は、メールや電話調査などの方法に切り替えることも考えている。 また、令和3年度は最終年度となるため、本研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい子ども見守りシステムを導入している自治体、学校への情報収集と現地視察、および小学校の保護者、小学生の利用実態、評価などを明らかにするアンケート調査を実施していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実施が困難になった。令和3年度はコロナ禍が落ち着いた状況を見計らって、これらの課題に取り組む予定である。
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