研究課題/領域番号 |
18K02230
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
松梨 久仁子 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (20184244)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 清拭 / 肌トラブル / 摩擦刺激 / 摩擦力 / 押圧力 / 圧縮特性 |
研究実績の概要 |
保育士を対象とし、保育園で子供たちの口周りをどのように拭いているかを観察した。清拭素材はハンドタオルとミニタオルであった。タオルを2つ折りにして口周りを大きく拭き取る、4つ折りにして小さい動作で拭くなど個人差がみられたが、いずれの場合も、あまり力を入れず優しく拭いていた。 2歳5カ月以下の子どもを持つ母親を調査対象者とし、普段、口拭き用に使っている清拭素材に関してどのようなものを選択しているか、その選択理由、子どもたちの肌に関して気をつけていることやスキンケアの方法等についてアンケート調査を行った。 拭く対象となる口周りの汚れは食べ物が8割で最も高く、よだれ58%、鼻水50%、飲み物42%と続く。拭き方で気をつけている点は、やさしく拭く、痛くないように、こすらないようになどの回答が上位にあり、子どもの肌を傷つけないように意識していることがわかった。口拭きに使用しているものはティッシュペーパーとウェットティッシュがそれぞれ56%で最も高く、おしりふきとガーゼハンカチは49%であった。トータルするとペーパー類の使用が多くなっており、使い捨てということも選択時の重要なポイントであることがわかった。 布地11種類、ウェットティッシュ13種類について、KES-FBシステムにより圧縮特性とせん断特性を計測し、拭き取り動作による接触力と押圧力・摩擦力を計測した。フォースプレートで検出される押圧力とハプログにより検出される接触力の差は、厚地の試料の方が大きくなる傾向が認められた。これは、試料に力を加えていく際、厚みのある柔らかい試料は指の沈み込みが大きくなるため、試料が厚くなるに従って接触力が小さく検出されたと考えられる。 触感フォースプレートとモーションキャプチャの同期測定については、拭き取り動作は可動域が小さいためモーションキャプチャで素材間の違いを検出することは困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に予定していた拭き取りに関する官能検査を行うことができなかった。これを2020年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
拭き取り素材の物性とふき取り刺激の関係を官能検査により明らかにする。その際、どのような拭き取り動作が刺激が少ないのかについても検討を行う。 被験者は皮膚トラブルがない成人を対象にし、刺激の少ない拭き取り方法について官能検査を行う。官能検査を行うにあたり、試料の検討、評価シートの検討を予備実験を行ったうえで決定し、本実験を実施する。被験者数は20名程度を考えている。 各種清拭用素材の物性と官能検査結果の関係を検討し、刺激の少ない素材を特定と、どのような拭き取り方が刺激が少ないのかを明らかにする。
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