研究課題/領域番号 |
18K02235
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
安川 洋生 岩手大学, 教育学部, 教授 (60242525)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬剤耐性菌 |
研究実績の概要 |
薬剤耐性菌対策は喫緊の課題であり,教員を志す教育学部生には適切に生徒を指導できるように正しい知識と認識を持つことが望まれる.岩手大学教育学部で通年開講されている講義の受講生を対象に,2018年度後期,2019年度前期,及び2019年度後期に無記名のアンケート調査を実施した.受講生に「薬剤耐性菌という言葉を聞いたことがありますか?」と質問したところ「はい」と回答した学生は23名(15.3%)であった.また「薬剤耐性菌が喫緊の課題であることを知っていますか?」と質問したところ,「はい」と回答した学生は6名(4.0%)であった.このように薬剤耐性菌について認知している教育学部生は少ないことが分かった. 教育学部生に薬剤耐性菌が生活環境中にも存在することを理解させるために,岩手大学教育学部に設置されているハンドドライヤーの送風に含まれる細菌の調査を行った.設置されている装置のうち10台について調査を行ったところ,9台から抗菌薬に耐性を示す微生物がみとめられた.微生物を回収しDNAを抽出してPCRにより薬剤耐性因子を解析したところ,いくつかの試料から blaACT,blaFOX,tet(K),tet(M),tet(S)が検出された. 岩手大学教育学部生のスマートフォン画面の薬剤耐性因子の調査を行った.37台のスマートフォン画面からサンプリングし,抗菌薬を含む培養液で培養した結果,14台(38%)について微生物の増殖がみとめられた.これらの微生物を回収し,DNAを解析したところ,薬剤耐性因子であるblaACT,blaFOX,tet(K)が検出された. これらの結果は薬剤耐性菌が身近に存在していることを示しており,教育学部生が現状を把握し,薬剤耐性菌対策の重要性を理解する契機になると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査にあたり大学生の協力が必須であり、事前に本件の重要性と、匿名性の確保 について、十分に説明したうえで実施した。ただし、協力を依頼できる学生数に限りがあること、等によりサンプル数を増やすことが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニング調査の継続、及び2剤以上の薬剤耐性菌の調査。2019年度までは1剤に対する耐性菌の調査に注力したが、2020年度は2剤以上の薬剤に対する耐性菌の調査も行う。これには、従来のような試験管や三角フラスコを用いた培養試験では実験スペースと人員の面から困難な点が多かったが、マイクロプレートを使用することで迅速に試験できると思われ、その試行を行いながらデータの収集を行う。
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