研究課題/領域番号 |
18K02237
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
島田 昌也 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (10576755)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 果糖 / 脂肪酸合成 / プロモーター / ヒストンアセチル化 |
研究実績の概要 |
果糖によって誘導される単純性脂肪肝において,脂肪合成系遺伝子の発現が亢進した際の転写制御メカニズムを,標的遺伝子のプロモーター領域におけるヒストン翻訳語修飾,特に転写のONと密接に関連するヒストンアセチル化に焦点を当てin vivoで明らかにすることを目的とした。 高果糖食を短期間摂取させたラット肝臓を採取し,リアルタイムPCRによる脂肪酸合成系遺伝子のmRNA量,およびクロマチン免疫沈降法による脂肪酸合成系遺伝子プロモーター上のアセチル化の度合いを測定した。 高果糖食摂取により,脂肪酸合成系遺伝子(Acaca,Fasn,Elovo,Scd1など)のmRNA量が著増した。特に増加が著しかったFasnおよびElovl6に焦点をあて,これら遺伝子プロモーター上(-2,000bp近傍から転写開始点近傍)のヒストンH3およびヒストンH4のアセチル化の度合いを解析した。その結果,FASN遺伝子およびElovl6遺伝子のどちらもにおいても,ヒストンH4のアセチル化よりもヒストンH3のアセチル化の方が,高果糖摂取によってより著しい増加を示した。 これらの結果から,高果糖食摂取によって誘導される肝臓脂肪酸合成系遺伝子は,これら遺伝子プロモーター上のヒストンアセチル化,特にヒストンH3のアセチル化の亢進を介することが示唆された。 高果糖食で誘導した単純性脂肪肝モデル動物の肝臓において,脂肪合成系遺伝子転写領域(gene body)のエピジェネティック情報が変動するのかを明らかにしていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高果糖食摂取によって誘導される肝臓脂肪酸合成系遺伝子発現の誘導には,プロモーター上のヒストンH3アセチル化の亢進が関与することを明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
高果糖食で誘導した単純性脂肪肝モデル動物の肝臓において,脂肪合成系遺伝子転写領域(gene body)のエピジェネティック情報(ヒストンアセチル基転移酵素やヒストン脱アセチル化酵素の結合含む)が変動するのかを明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究がおおむね順調に進んでおり(現在新たに論文を投稿中である),当初の予定よりも少ない消耗品費で研究を行うことができたため。次年度使用額は,現在作成中の論文の英文校正費に充てる計画である。
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