本研究では、ダウン症児を育てる家庭の母の就労について、「就労・就労継続の困難性」「就労・就労継続の困難要因」を明らかにすることを目的として行ってきた。具体的には、各種の就労の基盤となる情報を実態把握を含めて質問紙により把握したうえで、「就労・就労継続の困難性」「就労・就労継続の困難要因」について質問紙調査、面接調査(当事者の語り)によって明らかにすることとしていた。さらに、それらの考察を通して、ダウン症児を育てる家庭の母の就労支援の諸課題の考察から、ダウン症児を育てる家庭のワーク・ライフ・バランスの在り方を明らかにすることとしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症による各種環境や研究エフォートの変化により、調査が進まない状況が続くこととなった。そのため、2年間の期間延長を行い研究を継続してきた。最終年度までの間に文献等により、前提となる「一般的に障害児やダウン症児を育てる家庭の状況」等についての研究を行い、調査書の作成及び実施準備を行ってきた。最終年度では、質問紙調査(新型コロナの罹患者増加時期と重なり、回収率10%)および面接調査(10名予定中2名協力可)を実施した。いずれも事前に内諾を得ていたよりも回収率、協力者数共に大きく下回ったことから、最終年度後も継続して追加調査を行い、論文に上げることとする。また、今回、協力いただいた面接分については、「当事者の語り」として現在論文執筆中である。
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