研究実績の概要 |
本研究は, ヒトの咀嚼によって生成される食物片の粒子解析および食物片により形成される食塊の物性解析を用いて, 高齢者の咀嚼・嚥下過程の理解を目指す研究である。個人から得られた実データをもとに数理モデルにより食塊を再構成することで, 従来の機器測定等に比べ低コスト, 簡便に個人の摂食能力を評価できるような指標の確立を目指す。 当該年度は前年度のレーザーを用いた食塊物性の研究を踏まえ以下の研究を実施した. 1) フォースゲージとその可動スタンド, および試料に合わせた治具を組み合わせることでレオメーターを作成し, それにより現在テクスチャー研究に広く使われている Texture Profile Analysis (TPA) をした. 2) 1) で擬似的に作られた食塊を方形パイプ中に重力下で落下させ, その流れ下での挙動をレーザーを使って時系列信号として取り出し, それをフーリエ解析した. 1) ではある一定の大きさに切った一定量の生ニンジンとフードプロセッサーによって破砕された生ニンジンを TPA の方法で圧縮し, その応力特性について過去の研究結果と比較を行った. 近年, TPA では食塊のテクスチャー, 特に凝集性の評価ができていないのではないかという問題提起があり, これに変わる手法の確立が求められている. それに対して申請者らは 2) の重力下での食塊の挙動が凝集性の評価に応用できると考え, 解析を行っている.
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