研究課題/領域番号 |
18K02249
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
古田 宗宜 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (00343731)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Campylobacter coli / バクテリオファージ |
研究実績の概要 |
本研究は,Campylobacter coli(以下,C. coli)を特異的に溶菌するバクテリオファージ(以下,ファージ)を分離し,研究室保存中のC. jejuniを特異的に溶菌するファージと組み合わせて鶏肉中のC. jejuniおよびC. coliをターゲットとした新たな制御法を構築することを目的とする。 本研究の遂行には,C. coli特異的ファージの分離が最も重要であり,そのためにはファージを効果的に分離するための分離法を用いる必要がある。本研究では,これまでに C. jejuni 特異的ファージの分離に効果的であった分離法に基づき,C.coli特異的ファージの分離を行った。すなわち,ホスト菌株としてC. coli株を使用し,検体とともに増菌培養した培養液からファージの分離を行う方法である。そのため,まずは,ホスト菌として利用するC. coliの分離を行った。C. coliの分離は,市販鶏肉類から,直接分離法,増菌培養法および直接分離法と増菌培養法を併用した方法のいずれかによって実施した。その結果, 69株のCampylobacter属菌が分離され,そのうち15株がC. coliとして同定された。これらのうち8株と研究室保存株2株の合計10株をホスト菌株として使用して,市販鶏肝からC. coli特異的ファージの分離を行った。その結果,C. coli P76またはC. coli 142をホスト菌株として,合計4株のC. coli特異的ファージを分離することができた。分離されたファージは純化操作を繰り返した後,SMバッファー中で冷蔵保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,本研究の遂行のため,C.coli特異的ファージを分離することが最も重要であった。そのため,まず,ファージの分離に使用するC. coliを分離した後,これらをホスト菌株として使用し,C.coli特異的ファージの分離を行った。その結果,市販鶏肝からC.coli特異的ファージの分離に成功した。以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の展開は,まず,分離されたC.coli特異的ファージについて,溶菌スペクトル解析やin vitroにおける殺菌効果の検討などの性状解析を行い,C.coli制御剤として有効なファージを選択する。分離されたファージの性状解析の結果,いずれのファージもC. coliの制御剤として有効であると判断できなかった場合には,新たにファージを分離した後,それらの性状解析を実施する。 次にC. coliを接種した鶏肉におけるファージの効果的な殺菌条件について,接種法や容器包装などを検討する。その後,研究室保存株のC. jejuni制御効果の高いファージと組み合わせて,鶏肉中の両菌の制御効果について調べる。 制御効果が得られない場合にはファージの組み合わせやファージ接種条件について再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は,冷凍機付インキュベーターを購入しなかったため,96,717円の次年度使用額が生じた。 令和元年度は,冷蔵保存中でのファージの制御効果を調査するために冷凍機付インキュベーター使用する予定であり,その購入に必要な経費として使用する。
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