本年度は、C.coli制御材として有効なファージを選択した後、研究室保存株のC.jejuni溶菌ファージと組み合わせて鶏肉中のC. jejuniおよびC. coliをターゲットとした制御法を明らかにすることを目的とした。まず、昨年度、新たに分離されたC. coli溶菌ファージについて性状解析を行った。高力価のファージ溶液を得る目的で増幅条件を検討した結果、複数株で10の8~9乗台/1mLの高力価の溶液を得ることができた。次に豚肉および鶏肉から分離されたC. coli 23株に対する溶菌スペクトル検査を行った結果、3株(PHCcc142-6、PHCcc33-3およびPHCcc33-6)はすべてのC. coli株に対して溶菌反応を示した。特にPHCcc33-3は、C. jejuni 5株中4株に対しても溶菌反応を示した。培養液中でのC. coliに対するファージの制御効果について調べた結果、単独でも複数のファージを組み合わせても十分な制御効果が見られなったが、C. coliを接種した市販の鶏皮に対しては、PHC33-3を接種後、真空パックの状態で4℃に保存した場合、 1時間後にC. coli菌数が2桁程度減少し、48時間後まで同等の制御効果が見られた。C.jejuni とC. coliの両菌を接種した鶏皮にPHCcc33-3、PHCcc142-6およびC.jejuni溶菌ファージPHC22を混ぜたものを接種し、真空パックで4℃に保存した場合では、1時間後には1桁程度菌数が減少し、48時間後まで同等の制御効果が見られた。以上の結果から、C.jejuni溶菌ファージとC. coli 溶菌ファージを混ぜたファージ液を接種し真空パックで冷蔵保存する方法は、C.jejuniとC. coliが複合汚染した鶏肉に対しても有効な制御方法であることがわかった。
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