研究課題/領域番号 |
18K02250
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研究機関 | 静岡県立大学短期大学部 |
研究代表者 |
仲井 雪絵 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 教授 (70284073)
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研究分担者 |
野口 有紀 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (30612618)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | FFQ / ショ糖 / ミュータンスレンサ球菌 / 齲蝕 |
研究実績の概要 |
米国で有用性が実証されたFFQの日本語版を作成し,日本人成人集団を対象にその信頼性と妥当性を先行研究において検討した。本研究では,日本人小児集団を対象に,齲蝕発症および発症前診断となるリスク指標について信頼性と妥当性を検証した。小児歯科医院を受診した274名の小児(平均年齢4.4±0.07歳)を対象に,デントカルトSMを用いて歯垢検体中のミュータンスレンサ球菌数レベルを測定し,口腔内診査の結果から齲蝕経験歯数(dmft)を算出した。さらに対象児の過去1か月間の食事状況についてFFQの回答を保護者に依頼した。まず,FFQについて因子分析(主成分分析, バリマックス回転)によって因子を抽出し,構成概念妥当性を検討した。次に,抽出された因子ごとにクロンバッハのα係数を算出し,内的一貫性を検討した。さらに,Palmerの齲蝕誘発性分類を参照した齲蝕誘発性の重みづけ得点と,FFQ回答より得られた摂取頻度を食品項目ごとにそれぞれかけあわせて全項目の総和として食事性齲蝕誘発性スコアを算出した。その食事性齲蝕誘発性スコアと,デントカルトSMより得られたSMスコア, あるいはdmft値との関連性を相関係数(r)およびKruskal-Wallis testを用いて分析し,基準関連妥当性を検討した。ミュータンスレンサ球菌数と齲蝕経験歯数はそれぞれ食事性齲蝕誘発性スコアと有意な正の相関を示した。また,齲蝕罹患が高いほど,食事性齲蝕誘発性スコアの平均値も有意に高い数値を示した。齲蝕リスクを評価する上での基準関連妥当性が示唆された。 内的一貫性はやや低値を示したが,妥当性は実証された。そして齲蝕リスクを反映する簡便なツールとして,臨床の場や国際比較の疫学研究で応用可能であることが示唆された。 この結果を2019年6月にカナダで開催されるIADRにおいて発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書で予定していたとおりの進捗状況であるため,おおむね順調だと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究によってFFQの信頼性と妥当性が示されたため,次年度は中学生を対象にこれを応用しその評価から口腔内および全身の病態に対する食事摂取の面でコモンリスクを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた国際学会における成果発表を次年度におこなうことになったため。
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