研究課題/領域番号 |
18K02250
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研究機関 | 静岡県立大学短期大学部 |
研究代表者 |
仲井 雪絵 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 教授 (70284073)
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研究分担者 |
野口 有紀 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (30612618)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | FFQ / ショ糖 / ローレル指数 / 発育指数 / 齲蝕リスク |
研究実績の概要 |
昨年度(初年度)の研究では,日本人小児におけるFFQの信頼性と妥当性を実証し,齲蝕リスクを反映する簡便なツールとして臨床の場や国際比較の疫学研究で応用可能であることを示した。それを踏まえ,本年度は同ツールが全身の健康状態を反映できるかどうか,特に肥満のスクリーニングに関する応用可能性を検証した。齲蝕と肥満の発病にはショ糖摂取が共通因子として関与するため,他国より両者の相関性について数多く報告されている。ただし食習慣は国や民族等によって相違があるため,日本人小児において改めて検証することは意義がある。また,1つのツールによって複数の病態リスクをスクリーニングできれば,効率的な健康増進に展開できると考える。 静岡県内の郊外・山間地域の中学校4校の中学1年生198名を対象に,自己記入式質問紙調査を実施した。質問票の項目は,身長および体重を含む回答者自身の健康状態である。さらに過去1か月間の食事状況についてFFQの回答を依頼した。試料に欠損を認めた14名を除外し最終的に184名を分析の対象とした。 Palmerの齲蝕誘発性分類を参照した齲蝕誘発性の重みづけ得点と,FFQ回答より得られた摂取頻度を食品項目ごとにそれぞれかけあわせて全項目の総和として食事性齲蝕誘発性スコアを算出した。その食事性齲蝕誘発性スコアと,身長および体重から算出される発育指数(ローレル指数)との間に有意な相関が示された。ローレル指数の数値より5段階の判定評価(やせ,やせぎみ,正常範囲,肥満ぎみ,肥満)にカテゴリー化し食事性齲蝕誘発性スコアの差を比較したところ,その差は有意ではなかったものの,傾向がみられた(p=0.053; Kruskal-Wallis検定)。 口腔および全身の健康状態を反映する簡便なツールとして,臨床の場や国際比較の疫学研究で応用可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書で予定していたとおりの進捗状況であるため,おおむね順調だと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は後期高齢者を対象に口腔内および全身の病態に関するコモンリスクを検討する。すでに学内の研究倫理審査委員会で研究計画は承認されており,静岡県内の75歳および80歳における3年分のデータ収集を進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会における成果発表を次年度おこなうことになったため。
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