研究課題/領域番号 |
18K02256
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
村井 正之 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (00166240)
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研究分担者 |
河野 俊夫 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (60224812)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小麦アレルギー / グルテンフリー / 品質評価 |
研究実績の概要 |
米粉とパルプ抽出物(セルロース)の熱水分基本特性として、1)両者の水分親和性、2)水分保持力、3)比熱特性、4)乾燥特性、5)圧縮特性を測定した。当初計画では、1)についてNIRS(近赤外分光法)を利用する予定であったが、水分移動速度が予想よりも極めて早く、その移動をNIRSで迅速に捉えることが難しいと判断したため、半透明の細長い円筒状の容器に測定対象試料を詰めて片側から着色水を付与し、一定時間経過ごとの着色域の広がりを観測する手法に切り替えて行った。その結果、1)では米粉中での水分親和性(水分移動速度)に比して、パルプ抽出物のそれは約4倍から8.6倍程度と非常に早いことが明らかとなった。そのことから2)の試験においてもパルプ抽出物は、その粒状性によって効果は異なるが水分保持力が極めて高いことが判り、米粉との混捏の際にはその点を注意して手順を考慮する必要があることが明らかとなった。3)の比熱測定ではDSC(示差走査熱量計)を用いて計測した結果、パルプ抽出物の比熱は米粉に比較して0.80倍(30℃)~5.14倍(120℃)の範囲にあることが判った。DTG(熱重量同時測定装置)による4)の乾燥試験の結果、米粉に比較してパルプ抽出物は乾燥速度が非常に遅いことが明らかとなった。今年度新規に導入したTMA(熱機械測定装置)による5)の圧縮試験の結果、粒状性が中および大の分類となるパルプ抽出物の圧縮歪はと同じ程度であったが、粒状性が一番小さな試料では米粉の歪の0.71倍程度と、米粉と混和・混捏した場合に注意が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NIRS(近赤外分光法)による水分浸透速度計測では、予想よりも水分浸透速度が極めて速かったことから、着色水を用いた円管浸透計測法に切り替えて行い、当初計画の目的は果たせた。その他については計画どおり実施できており、進捗は順調なため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って、次年度は「グルテンフリー食品の試作とその素材配合・製造過程の検討」を実施する。また、最終年度に実施予定の「グルテンフリー新食品の食感評価・消化性の検討」に向けて、予備試験を実施して実施に向けた条件を探索予定である。
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