生活習慣病予防に減塩が推奨されているが、塩分摂取量の過剰制限は、塩味だけでなく料理の味自体が薄味になり、食感の低下も引き起こすことから、十分に 食生活改善運動としては浸透していない。塩に対するうま味の添加は、塩味を強く感じさせ、少ない塩分量で満足させる効果があると言われている。また、食品 の食感は、咀嚼に伴う唾液への味物質の溶出度合に影響を与える。そこで本研究では、うま味がもたらす味や触感への効果を、理化学分析によって明らかにする ことを目的とし、研究を行った。R3年度は、煮物を想定し、ダイコンなどの食材を用いて硬さや味成分濃度が異なるテストピースを作製した。それらを用いた咀嚼モデル試験(物性測定、成分分析などを利用した理化学分析)や味覚センサによる味質評価を行った結果、食品の硬さや崩壊度、水分量などが味成分溶出量に影響すること、味覚センサでも一部の味質は評価可能であることが示唆された。
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