研究課題
本研究では、終末期にある療養者のための食事ガイドラインの開発を目的に、「終末期にある療養者の食事」の実態と関連要因をつかむためのアンケート用紙を作成した。終末期患者に関する看護学の研究者と、在宅における栄養の研究者および統計学の研究者が、各研究分野の先行文献の検討を行い、終末期にある療養者の食事について、疾患別、症状・状態別、介護者の状況別に分けて分析した。終末期にある療養者の食事について、日本人の闘病記の分析も行った。これらの結果と、看護学、栄養学を専門とする研究者のフィールドにおける経験やそこでの聞き取り内容を加味して、アンケート用紙を作成した。この段階で新型コロナウイルス感染症の影響を受けアンケート実施を延期した。この間に、これまでに収集した知見をもとに「終末期にある療養者のための食事ガイドライン(案)」を作成し、その案について意見や助言を求めるアンケートに内容を一部変更した。プレテスト段階で、ほとんどが自由記述になるため、聞き取り調査の方が回答しやすいとの意見が多く、一部は聞き取り調査も併用した。アンケートによる意見をもとに「終末期にある療養者のための食事ガイドライン(暫定版)」を作成した。ガイドラインは、食事をどのようにとらえているかという「療養者が抱く食事の意味」「介護者が抱く食事の意味」の項目と、身体状況と介護力にあった食事を選択するための「療養者の摂食・嚥下機能」「介護者の介護負担状況」の項目と、医療介護の専門職による支援がどの程度得られるかという「医療の専門職の支援状況」「介護の専門職の支援状況」の項目にわけて、その内容によって適切な食事へ導けるように構成して作成した。今後は、このガイドラインを当事者(介護者および療養者)に直接示し、使いやすさ、理解のしやすさなどについて意見をもらい、修正・改善を加えたうえで、完成させ、学術雑誌へ投稿する予定である。
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