研究課題/領域番号 |
18K02259
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
田中 進 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (70348142)
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研究分担者 |
曽根 保子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (80452027)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アルキルベンゼンスルホン酸塩 / カルシニューリン / 陰イオン界面活性剤 |
研究実績の概要 |
免疫抑制剤の標的酵素であるカルシニューリン(CN)のホスファターゼ活性を阻害する物質として、アクリロニトリルブタジエンゴム中から同定した直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)は、洗濯用合成洗剤の主要成分として我々の生活に密接に関係する物質であり、また環境汚染物質としても知られている。2018年度の研究では、市販標準品のC12-LASを用いて、リコンビナントヒトCN(rhCN)活性に対する影響を検討した。またLASは陰イオン界面活性剤でもあるので、シャンプーや化粧品等に汎用されている市販の陰イオン界面活性剤にも範囲を広げ、皮膚に対する影響を調べるため、コラーゲンを産生するヒト正常線維芽細胞(WI-38)と癌化した細胞(WI-38 VA13)を用いてそれぞれのIC50を検討した。 C12-LASはウシ脳由来のCNのホスファターゼ活性を阻害することは明らかとしていたが、rhCNにおいても同様な阻害作用を認めた。またこの阻害を非イオン性の界面活性剤が抑制した。 次にシャンプーや化粧品等に使用されている市販品(スルホン酸塩6種類、アルキル硫酸エステル塩2種類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩4種類、脂肪酸塩1種類)をそれぞれ使用して、WI-38とWI-38 VA13に対するIC50を原液からの希釈倍率で求めた。また、同時に細胞の形態観察を行った。その結果、WI-38とWI-38 VA13のそれぞれのIC50は検討した13種類の陰イオン界面活性剤において、相対的にほぼ同様な傾向を示した。13種類の陰イオン界面活性剤に対する両細胞のそれぞれのIC50は数千倍から数万倍であり、例えば、同じスルホン酸塩でも数千倍から数万倍と大きな差が認められ、主成分の組成によりIC50が異なることが示された。また細胞の形態もこれに関連した結果が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市販標準品のC12-LASを用いてrhCN活性に対する阻害作用の評価、市販品の陰イオン界面活性剤13種類を用いて、WI-38、WI-38 VA13に対するIC50の評価等を行ってきた。しかしながら陰イオン界面活性剤に対してWI-38細胞が産生するコラーゲン量の影響を検討する計画が一部しか達成されていないことから上記のような達成区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は以下の通り、研究を進める 1. WI-38細胞が産生するコラーゲンに対する市販の陰イオン界面活性剤の影響について検討を行う。 2. Jurkat細胞のIL-2産生を指標とした陰イオン界面活性剤の細胞性免疫に対する影響解析を行う。 3. 市販標準品C12-LASによる細胞性免疫低下の作用機序の解析を転写調節因子の検討を中心に行う。
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