研究課題/領域番号 |
18K02260
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
名倉 秀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (80189175)
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研究分担者 |
辻 ひろみ 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (00300004)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 給食 / 献立 / 食塩相当量 / 汁物 / 主菜 / 加熱調理 / 食塩濃度 |
研究実績の概要 |
給食の献立を構成する料理における食塩相当量は、計画で示した値が大量調理の影響により減少または増加するのかを確認し、その変動要因を把握した上で、給食利用者の食塩相当量の低減に向けた献立作成の法則性を見出すことを目的とする。 本年度は、研究のためのモデル献立の検討を行い、基礎的な食塩相当量の変化を把握することを目的とした。汁物、主菜、副菜において単純で季節変動が少なく、実験に耐えうる料理の検討を行った。 給食の生産から提供工程に沿いながら、汁物2~3種の汁と具の食塩濃度の測定を実施した。主菜では揚げ物について、鮭のフライの衣の重量変化、喫食時のソースの量について検討を行った。また、きゅうりの和え物を想定して、調理による重量や硬さ等の変化を把握した。 汁物について、調理直後の汁と実の食塩濃度は汁の方がやや高く、60分間の保温では逆に実の方が高くなることが明らかになった。鮭のフライは、献立作成時の重量が調理により重量の減少が確認できた。きゅうりは、衛生的な観点から加熱、冷却を経て和え物とすると、重量は減少することが確認できた。きゅうりの食感は、加熱機器、冷却機器により優位な差が認められた。 汁物の汁と実の食塩濃度は時間経過により変化し、摂取時の食塩相当量が計画と異なることが推察でき、さらに基礎的な実験データを得るために、実のない単純な系の汁について、蒸発量などの要因を次年度の計画とする。主菜や副菜においては、調理工程により仕上がる料理の重量減少が得られたため、料理の食塩濃度が高くなることを予測して、引き続き食塩相当量の測定を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
献立を構成する料理は、一汁二菜とすることに決定し、食塩相当量が最も多いと推察する汁物と主菜料理を中心に調理に伴う食塩濃度の変化を実験的に把握し、給食提供までの保管と合わせて測定を行った。献立計画時の食塩濃度と調理、提供時の食塩濃度は異なることを明らかにした。この要因は多様であり、汁物の実と汁の調理直後からの時間の因子に伴う食塩濃度の分布に変化があることが明らかになった。同時に、汁物は出来上がり重量が減少することも得られた。汁物より摂取される食塩相当量は、献立の計画時と調理を経た提供時で異なることから保管時間に伴う蒸発率についても、検討を加えている。 また、主菜や副菜は詳細なデータを把握するには、実験の回数を増加することが必要であるため、今後さらにデータを集積する。これらのことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
汁物より摂取される食塩相当量について、給食で提供される単純な料理を選定したが、さらに実験に耐えうるために、実のない状態の汁物の検討を実施する。また、汁物の蒸発を抑える可能性のある粘性のある汁物料理を選定し、調理および保温を経た食塩相当量について検討を行う。この場合には、汁物の品質として食塩濃度の他、粘性率などの測定も計画・実施する。 主菜や副菜について、さらなる詳細なデータ把握のために、調理法を変えて実験を行う。その際に、食塩濃度に関係する品質要素として、テクスチャーに関する測定も実施する。 汁物、主菜、副菜の調理工程が確定した料理から、栄養量の測定試料として各栄養成分の値を化学的分析により把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
汁物の実験を中心として実施したことにより、食品材料の費用が抑えられていた。そのため次年度での使用額が生じている。これについては、主菜などの実験のために、食品材料の費用として使用する。 また、料理における調理作業の標準化までは至っていないため、料理の栄養成分分析のための費用が不要であった。この点は、今後の実験で成分分析することが多数生じることがあり、その費用に当てる。
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