給食の構成要素である料理の食塩相当量の保持率を大量調理の実験により把握し、給食利用者の食事提供の際の食塩相当量を提言するための献立設計に寄与する構造的な法則性を見出すことを目的として、汁物料理、主菜料理、副菜料理を一汁二菜の組合せによる料理の選定を行い、調理工程を確定した。その上で、食塩相当量の変動に関わる要因や食塩相当量の保持率を把握した。汁物は、加熱中の蒸発量により給食提供の料理の食塩相当量が異なるため、基礎的なデータとして季節性について、同じ関東圏の厨房での具材なしのデータを得た。すでに味噌汁は研究期間の前半で把握し、材料の加熱時間、低湿度が食塩相当量の変動の要因であることを明らかにしている。 最終年度は清汁の調理工程を確定し、食塩相当量を検討した。また、主菜は料理のボリューム感を付加するためにあんかけ料理とすることが多いことから、この調理工程を確定すること検討した。副菜については、これまでのデータを検討することとした。 汁物の清汁は、予備加熱された豆腐が先に椀に盛付けられ、保管中にわずな水分流出が生じることから、汁の加熱、蒸発による食塩濃度がやや高くとも、食塩相当量が献立と一致する値となった。汁の食塩濃度の変動は、材料の加熱時間や水分流出による等が明示され、変動要因別の汁物分類を示す必要性が課題となった。主菜のあんかけ料理は、調理工程の「あん」の濃度調製と給食利用者が「あん」を皿に付着させ残菜とするなどの問題点が指摘でき、食塩相当量に関る量的把握をふまえた調理工程確定までに至らなかった。これは、「あん」のみの基礎的データの把握と野菜類を加えた「あん」を詳細に検討する必要性を見出す結果を導いた。 大量調理の調理工程の確立は、実験作業として複数の作業者が必要であり、その作業のためにおいて新型コロナ感染症拡大防止による対策(自宅待機等)が大きく実験進行を遅らせた。
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