研究課題/領域番号 |
18K02263
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
能見 祐理 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (20614887)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 終末糖化産物 / AGEs / メイラード反応 / α-ジカルボニル化合物 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、現在流通している様々な飲食品の終末糖化産物(AGEs)含有量を明らかにするとともに、AGEs形成に及ぼす因子を解明し、AGEsの低減に向けた方策を講じることである。 2018年度は、AGEsおよび関連成分の分析システム構築を中心に取り組んだ。LC/MS/MSを用いたCML, MG-H1, pyrralineなどを含め8種のAGEsをモニターできる分析システムとともに、UHPLC-MSを用いたAGEsの前駆体であるα-ジカルボニル化合物の分析システムを新たに構築し、これら化合物の定性と定量が可能となった。AGEs形成に寄与することが予想される糖類やアミノ酸などの分析システムも新たに構築した。また、固体・ペースト食品の前処理方法について検討を行い、最終的に酵素加水分解法を用いてタンパク質結合型AGEsを分析する方法を確立した。 本手法を用いて、加工・貯蔵によりメイラード反応亢進が予想されるいくつかの飲食品について、各種成分の分析を行ったところ、焼成パンにおけるAGEsの生成経路を明らかにすることができた。また、上記の分析法構築によりAGEs生成機構の詳細を解析することが可能になったため、簡便なモデル系を用いた単糖、二糖、オリゴ糖を含む各種糖質のAGEs生成能評価を行った。糖質の種類によって特異的なAGE生成傾向がみられ、糖質の還元能以外の要因が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、各種分析システムを構築するとともに、適切な前処理法を確立することができた。また、いくつかの飲食品について試験的に分析して新たな課題を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度以降はモデル反応系および実際の食品モデルでの検証を行い、AGEs形成に寄与する因子を解明する予定である。ただし、検証する食品については、加工・貯蔵法を踏まえ、食生活への寄与を考慮した上である程度選別する必要があると考えている。 また、前処理に用いる酵素試薬が高価なことから、場合によっては測定値に影響を及ぼさないように工夫した上で、より安価な酸加水分解法を選択する必要があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、使用する試薬・器具等に係る消耗品費の節約により、当初の予定より少ない使用額となった。今後の実験において、様々な飲食品を分析するため、試料前処理の目的で比較的高価な酵素試薬を多用することから、次年度以降使用されることになる。
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