研究課題/領域番号 |
18K02263
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
能見 祐理 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (20614887)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 終末糖化産物 / AGEs / α-ジカルボニル化合物 / メイラード反応 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、現在流通している様々な飲食品の終末糖化産物(AGEs)形成に及ぼす因子を解明し、AGEsの低減に向けた方策を講じることである。 2019年度はタンパク質と糖質を多く含み、高温の噴霧乾燥で製造される調製粉乳での検証を試みた。市販の調製粉乳の糖質は乳糖が主成分であるが、腸内環境を整える目的でオリゴ糖が添加されており、その種類は各社異なっている。前年度の成果より、含まれる糖質の違いによってAGEs生成に影響を及ぼすことが懸念されたため、各種オリゴ糖のAGEs生成への影響を明らかにすることを目的とした。 11種の糖質(グルコース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、1-ケストース(GF2)、ニストース(GF3)、イヌリン加水分解物(IOS)、95%フルクトオリゴ糖(FOS)、99%ガラクトオリゴ糖(GOS))を用いて、カゼインおよびホエイタンパク質モデル反応系と市販されている調製粉乳におけるAGEsおよびその前駆体であるα-ジカルボニル化合物(α-DCs)生成の評価・比較を行った。 モデル反応系においてオリゴ糖の種類によって生成するAGEs種に違いが見られ、二糖類よりも重合度が高いオリゴ糖の方がAGEsを多く生成していたことから、オリゴ糖特異的な分解物がAGEs生成に関与していることが考えられた。また、特定のα-DCsを顕著に生成するオリゴ糖を見出し、その形成要因を明らかにした。各種オリゴ糖を含む市販の調製粉乳のAGEsおよびα-DCsの分布を調べた結果、α-DCsについてはモデル系と同様の生成傾向が見られたが、AGEsについては含まれるオリゴ糖の違いによる差は見られなかった。食品中AGEsの形成には様々なファクターが関わっていると推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、前年度構築した各種分析システムを用いて解析を実施し、AGEs生成機構も含めた詳細な知見を得ることができた。また、α-DCsの分析種について新たな課題を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
オリゴ糖特異的な分解物をより詳細に解析する必要があることから、現行のα-DCs分析システムの分析種を増やすことを試みる。また、様々な飲食品に対応するため、反応モデル系のバリエーションを増やす必要があると考える。
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