研究課題/領域番号 |
18K02264
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
細見 亮太 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (20620090)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 氷温 / 熟成処理 / 一般生菌数 / 遊離アミノ酸 |
研究実績の概要 |
本年度は、食肉の氷温域での熟成処理(氷温熟成)過程に起きる一般生菌数および遊離アミノ酸量の変化を明らかにするため、一般生菌数および遊離アミノ酸量を評価した。 豚ロース肉を+4℃での熟成処理(チルド熟成区)および-1℃での熟成処理(氷温熟成区)の2区に分けて、試験を行った。熟成開始から1週間毎にそれぞれの豚肉を回収し、一般生菌数(好気および嫌気的条件)を測定した。チルド熟成区と比べて、氷温熟成区の一般細菌数の増殖は、好気および嫌気的条件ともに抑制されており、この増殖抑制率は約50%であった。チルド熟成と氷温熟成区で一般生菌数が同等であったチルド熟成21日目と氷温熟成49日目について遊離アミノ酸量の測定をおこなった。肉様の旨味への寄与が大きいグルタミン酸について比較すると、氷温熟成区でグルタミン酸含量が有意に高かった。また、甘味を呈するアミノ酸であるアラニン、グリシン、セリン、スレオニンについて比較すると、氷温熟成区でグリシンおよびセリン含量が有意に高かった。一方、苦味を呈するアミノ酸であるバリンおよびロイシンを比較すると、氷温熟成区でバリンおよびロイシン含量は有意に高かった。 チルド熟成21日目と氷温熟成49日目の遊離アミノ酸含量を比較すると、チルド熟成区に比べて氷温熟成区で食肉の味に関わる総遊離アミノ酸含量が高かった。以上のことから、豚肉に氷温熟成技術を利用することは食肉の呈味を変化させる可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の実施予定であった、チルド熟成および氷温熟成過程中の一般生菌数の増殖速度と遊離アミノ酸の変化について評価し、豚肉に氷温熟成を利用することで呈味成分量を変化させる可能性があると考えられた。このように2018年度実施予定であった研究項目について順調にデータが得られていることから、「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、食肉の遊離アミノ酸の生成に関わるアミノペプチダーゼについて、チルド域と氷温域での酵素の活性の相違を評価する。また熟成過程中に自身のプロテアーゼ作用によって、アミノペプチダーゼが分解されて活性が低下することが考えられる。そのため、経日的に食肉をサンプリングしてアミノペプチダーゼ活性を測定し、熟成過程中の遊離アミノ酸生成への影響を評価する。
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