研究課題/領域番号 |
18K02270
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
石田 雅樹 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10626914)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジョン・デューイ / ウォルター・リップマン / チャールズ・E・メリアム / シティズンシップ教育 / メディア・リテラシー / 職業教育 |
研究実績の概要 |
・本年度は「大衆社会における公衆とその教育」を研究テーマとして、J・デューイとW・リップマンとの政治教育論に取り組んだ。両者の政治教育論についてはこれまでにも個別に研究を行ってきたが、今回比較を通じて両者の政治教育論の共通性と異質性を明らかにすることができた。両者の関係については、従来「エリート論者=リップマン」対「民主主義者=デューイ」という対立によって論じられてきたが、本研究を通じてそうした対比が妥当ではなく、むしろ両者の政治教育論に注目するとその共通性が顕著になることを明らかにした。その研究成果は、日本政治学会での研究報告(「公衆」の政治教育の可能性について――「リップマン-デューイ論争」再考」日本政治学会、2018年10月14日)や、その論稿を収録した共著(「リップマン-デューイ論争」再考――「公衆」の政治教育をめぐる対話について」関口正司編『政治リテラシーを考える――市民教育の政治思想』風行社、2019年)として結実した。 ・またこれと並行して、2019年度の研究計画としていたシティズンシップ教育論について、とりわけJ・デューイとC.E.メリアムとの比較研究を前倒しして取り組むことができた。アメリカ政治学の父とされるメリアムが、デューイ同様に「民主主義」と「専門知」との結合において政治教育の重要性を説いていたことを、論稿「「政治の科学」と「政治教育」のあいだ――チャールズ・E・メリアムの「市民教育」論について」(『宮城教育大学紀要』第53巻、2018年)を通じて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・2018年度の計画として予定していた「大衆社会における公衆とその教育」について、研究報告と論稿(共著出版)という形で研究成果を形にすることができた。またさらに2019年度の計画としていたシティズンシップ教育論について、これまでの研究を踏まえた上で、デューイと比較考察を行うメリアムの政治教育論について研究を深めることができた。以上から、おおむね順調に推移していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
・当初の2019年度の計画に従って、デューイのシティズンシップ教育論について研究を行う予定であるが、その内実を政治学者メリアムとの比較を通じて明らかにする。両者はともに、民主主義と専門知との融合を目指す「進歩主義」progressivismの立場から、新たな政治教育のあり方を模索したが、両者の比較はこれまでの先行研究では行われてこなかった。本年度の研究では、この教育-政治学の空白を埋める取り組みを行う。最終的にこの論点に関する研究論文を執筆し公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた学会参加を見合わせたことなどから残額が13,499円生じた。次年度において消耗品費として使用する予定。
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