今年度は、大正新教育運動を主導した師範学校附属小学校およびその影響を受けた公立小学校の学校改革の事例を取りあげ、それぞれの事例における学校経営やカリキュラム開発の実態に即して、教師の能力形成の契機やプロセスを明らかにすることに注力した。そのために、日本に流入した欧米のカリキュラム・マネジメント情報に基づく学校改革の実態について以下の調査を実施した。 ①東京女子高等師範学校附属学校園、奈良女子高等師範学校附属学校園、明石女子師範学校附属学校園、広島県師範学校附属小学校、秋田県師範学校附属小学校におけるカリキュラム改革の実態と教師のカリキュラム・マネジメント能力の形成過程に関する調査 ②上記師範学校附属学校園の実践改革の影響を受けた公立小学校の事例として、東京市富士尋常小学校、秋田県明徳小学校、福井県三国小学校、広島県西条小学校の実践改革に注目し、それを支えた行政・地域・学校経営環境の実態、および教師たちの内的変化(意識・志向・思想など)に関する調査 これらの事項に関して、インターネットを活用した国内文献調査と海外学術データベースによる先行研究の調査、および国立国会図書館、国立教育政策研究所教育図書館、奈良女子大学、広島大学、広島県立図書館、秋田県立図書館などが所蔵する関係資料の調査を実施した。上記に加えて、これまでに収集した実践記録や実践者の自伝、回想録、インタビュー記録などを整理分析して、研究成果の一部を日本カリキュラム学会第33回大会および教育史学会第66回大会において報告するとともに、その内容を論文にまとめて発表した。
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