本研究では、大正新教育期に実践改善を試みた教師たちがカリキュラム開発や学校経営に関わった契機や能力形成のプロセスを米国の教師と比較し、日本の教師の力量形成の特質を考察した。まず、アメリカにおける「学校に基礎をおくカリキュラム開発」に関する実践情報が1910年代に日本の教師達に普及していく過程を明らかにした。日米の著名な学校改革の事例を比較した結果、日本においては教師の力量形成を支援する環境整備が遅れており、彼らは組織的な研究態勢を維持しづらい状況にあったこと、しかしながら優れた実践家は、実験的な試行ができる環境を自ら組織して協同的にカリキュラム・マネジメントに取り組んでいたことを指摘した。
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