研究課題/領域番号 |
18K02274
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
遠座 知恵 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20580864)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カリキュラム評価 / 成績考査 / 教育測定 / 大正新教育 |
研究実績の概要 |
カリキュラム・マネジメントを掲げる現行学習指導要領の下では、PDCAサイクルを確立し、カリキュラム改善を行うことが求められている。しかしながら、カリキュラム評価の理論に多様なとらえ方があるように、その実践もまた一様ではないと考えられる。本研究は、これからのカリキュラム評価の在り方に対して、歴史的な視点から示唆を提示するために、19世紀から20世紀にかけて生起した国際的な教育改革運動である新教育運動に着目し、その中で取り組まれたカリキュラム評価の実態と特質を明らかにすることを課題としている。 上記の課題を遂行するため、令和4年度は主として以下のような研究活動に取り組んだ。 第一に、1910年代までに国内で行われていた成績考査の議論について整理した。成績考査改革の一つの流れとして、知能検査や教育測定の方法を導入することにより、科学的根拠に基づく研究の必要性を訴える動きが存在したが、他方では、これらの研究方法の形式性を批判する論もみられ、この問題に対する様々な考え方が存在していたことが確認できた。この研究成果の一部として、教育教授研究会における成績考査議論を取り上げ、学会において発表を行った。また、1910年代の議論は、1920年代における成績考査改革の在り方に影響を与えていたと考えられるため、次年度はその具体的展開に関する解明を進めたい。 第二に、戦前期日本における評価改革の動向や事例に関しては、これまでに続いて、教育ジャーナリズムの広範囲な調査を継続して実施した。この作業を通じて、国内の評価改革の重要事例を絞って検討を進めたため、今後はその分析を進め、研究成果を公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以前と比べて調査を少しずつ実施できるようになってきたものの、史料の所蔵機関の中には、公開を再開していない、あるいは閲覧の時間制限を設けている所も多く、予定していた調査が計画通りに実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
史料の所蔵機関の中には、令和5年度中に閲覧利用を再開する所もあるため、訪問が可能になり次第調査を実施する。また、インターネットによる文献収集や図書館を通じた複写依頼、アルバイトによる研究補助を活用し、調査と分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表がオンライン開催となり、旅費を使用する必要が生じなかった。残額は、「今後の研究の推進方策」に記載した通り、史料収集と研究補助に活用する予定である。
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