本研究の目標は、デューイ思想をヘーゲル的弁証法の観点から再評価することにより、実践的に多義的だといわれてきたデューイの主要な教育概念をより理解可能なものとして提示することにあった。教育政策の主要な概念は、探究的な学びや協働性、反省的思考などデューイ思想に淵源を求めることができる語彙で構成されているが、デューイ哲学の形成におけるヘーゲルの弁証法的な問題の立て方と思考法の影響を再評価することによって、帰結としてのデューイ哲学ではなく、デューイの経験主義にヘーゲル的な全体論的な解釈を施し、有機体としての学習者、外部を排した探究概念など、より根源的で包括的な観点と理解の仕方を提示することができた。
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