研究課題/領域番号 |
18K02278
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
初田 幸隆 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (80791350)
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研究分担者 |
高柳 眞人 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (50346699)
樋口 とみ子 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (80402981)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教科担任制 / 教職アイデンティティ / 小中一貫教育 / 義務教育学校 / 思春期 / 思春期心性 / 反抗期 / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
令和4年度からの小学校高学年における教科担任制の実施に際して、質問紙調査により教科担任制の導入に際して留意すべき点を明らかにすることで、小学校現場における教科担任制の導入に資することができた。特に、以下に述べる思春期心性の出現時期との関係から、小学校高学年において教科担任制を実施する場合、単に担任間で受け持ち教科を分担するだけでなく、中学校的に組織的に児童に関わり、これまでの小学校の担任に多く見られる担任が自クラスの児童全員の指導を前面に出て引き受けるという意識を変えて取り組む必要がある点を明確にしたことで、教科担任制への切り替えに新たな視点を加えるものとなった。 思春期の開始時期に関しては、思春期心性としての反抗心(反発心)に焦点を当て、その出現時期を特定した。その結果、思春期の開始時期の通説である12歳前後が2年早まっており、現在多くの教員が前思春期、前青年期ととらえている10歳前後の時期から思春期に入っていることが明らかになり、小学校高学年の指導に際しての重要な視点を提起するものとなった。 さらに、児童生徒が最も影響を受けるとする対象については、中学2年生においてはこの20年余りの間に友人、マスメディアの割合が半減し、代わって保護者が増加していることが明らかになった。このことから、思春期における保護者からの精神的な分離や、友人等他者との様々なかかわりを通してのアイデンティティの形成や拡散が阻害されていると考えられ、教科担任制の導入等、複数の教員が児童に関わる仕組みを思春期の開始時期に合わせて工夫することの重要性を指摘することものとなり、講演会や研修会の機会において教員の意識を高めるものとなった。 また、義務教育学校においては、後期課程において保護者の影響が強く残る傾向が見られることから、親離れや子離れを促進する取組が必要であるなど、新たな視点からの問題提起となった。
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